各国の外交団をもてなす「鴨場接待」に出席した愛子さまと佳子さま(2025年2月14日)

「お会いできてうれしいです」

「お楽しみください」

 秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまと天皇、皇后両陛下の長女、敬宮愛子さまは2月14日、千葉県市川市にある宮内庁新浜鴨場を訪れ、駐日外国大使らを接待した。伝統のカモ猟を紹介する皇室の恒例行事で、愛子さまは初めて参加した。

佳子さまと愛子さまの装い

 佳子さまは、赤を基調としたジャケットに黒いパンツ姿で、愛子さまは、深いグリーンのジャケットにチェックのスカートという装いだった。おふたりは、キューバやスイスなど12か国の大使らに対して、前述したように英語で話しかけ、飲み物を手に懇談した。その後、カモ猟に向かい、それぞれ1羽ずつ捕獲した。

 カモ猟は大きな池に集まったカモを、訓練したアヒルを使って細い水路におびき寄せる。カモが水路脇の人に驚いて飛び立とうとするところを、絹糸で作られた「叉手網」と呼ばれる手持ちの網で傷つけずに捕獲する。捕獲後は足に標識をつけて放鳥しており、この日もおふたりは大使らとともに放鳥した。

「10月3日に千葉県の鴨場でもって雅子さんのほうに『私と結婚していただけますか』というようなことを申しました。

 そのときの答えは、はっきりとしたものではなかったわけですけれども、その後、12月の12日にこの仮御所に来ていただいて、そこでもって、『私からの申し出、受けていただけますか』というふうに申しまして、それを受けていただいたというわけではあります」(天皇陛下)

「確かに、私は外務省で大変、やりがいのある仕事をさせていただいておりましたので、その仕事を辞めるべきかどうかということについて、だいぶ、悩んだことはございました。ですから、この新しい決心をするまでに、十分に考える時間が必要だったということだと思います」(皇后さま)

 1993年6月9日、天皇陛下は、元外務省キャリア官僚の皇后さまと結婚した。同じ年の1月19日、皇室会議で正式におふたりの婚約が内定した後に行われた記者会見で両陛下は記者から、

「皇太子さま(現在の天皇陛下)のプロポーズの時期と場所、その言葉はどのようなものだったのでしょうか。また、雅子さん(現在の皇后さま)の返事の時期と言葉はどのようなものだったのでしょうか」

「雅子さんは皇太子さまのプロポーズのあと、いったんは固辞されたと聞いていますが、心の葛藤はどのようなものだったでしょうか」

 と尋ねられ、前述のように、国民に向けて素直に語った。

 今から約33年前の1992年10月3日、おふたりは宮内庁新浜鴨場でデートを楽しみ、その場所で陛下は皇后さまに、「私と結婚していただけますか」という言葉でプロポーズをした。こうした両親とゆかりの深い場所を今回、愛子さまが訪れたことになり、話題となった。

目を引いた佳子さまと愛子さまの和服姿

文化勲章受章者、文化功労者を招いた茶会に参加(2024年11月5日)写真/宮内庁提供

 昨年10月30日、天皇、皇后両陛下主催の秋の園遊会が東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれ、パリ五輪の金メダリストや各界の功労者など約1400人が出席した。皇后さまや紀子さまら女性皇族は和装だったが、特に、若い佳子さまと愛子さまの和服姿が目を引いた。薄い空色から裾のあたりがクリーム色に変化する振り袖姿の佳子さまと、淡いピンク色の振り袖が似合う愛子さまはとても仲良しで、お互いに見つめ合ったり、談笑したりしながら、秋晴れの下、出席者たちと懇談していた。

 さらに11月5日、天皇、皇后両陛下は、漫画家のちばてつやさんら文化勲章受章者とプロゴルファーの青木功さんら文化功労者を皇居・宮殿に招き、茶会を催したが、秋篠宮ご夫妻と一緒に、佳子さまや愛子さまも同席した。愛子さまが茶会に出席するのは初めてのことだった。佳子さまは赤、愛子さまはオフホワイトの洋服姿で、この場でも若いふたりは、注目を集めていた。

園遊会では愛子さま、佳子さまとも振り袖姿で招待客と懇談した(2024年10月30日)

 このときは、天皇、皇后両陛下と秋篠宮ご夫妻、それに、佳子さまと愛子さまの3組に分かれて、文化勲章受章者と文化功労者らが座るテーブルをそれぞれ回り、食事を共にしながら歓談した。

 鴨場接待もそうだが、最近、愛子さまと佳子さまの仲良しいとこ同士の公的な活動が増えていて、人気が高い。女性誌も《“ペアご公務”お二方の絶妙なコンビネーション》などと報じていて、強い関心を示している。仕事をしている当人たちも楽しそうで、国民からしても若い内親王たちの活躍は、皇室の将来に明るい希望を抱かせ、大歓迎だ。

 前回も触れたが、衆参両院の正副議長は1月31日、与野党各会派の代表者と衆参議長公邸で会談し、安定的な皇位継承に向けた皇族数確保をめぐる協議を再開した。また、2月17日、安定的な皇位継承のあり方をめぐり、衆参両院の議長・副議長と各党の代表者らによる会合が開かれ、女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、配偶者と子どもも皇族とするかどうかについて、各党が意見を述べたが、隔たりが見られたという。

「基本的にこれは皇室のシステム、制度に関わることでありますので、これについて私が何かお話しするということは控えることにいたします。

 ただ一方で該当する皇族は生身の人間なわけで、その人たちがそれによってどういう状況になるのか、そのことについて私は、少なくとも、そういう人たちを生活や仕事の面でサポートする宮内庁の然るべき人たちは、その人たちがどういう考えを持っているかということを理解して、もしくは知っておく必要があるのではないかと思っております」

 2024年の誕生日会見で、記者から「衆参両院議長は9月、皇族数確保策に関する与野党協議で、女性皇族が結婚後も皇室に残る案についてはおおむね賛同を得られたとの見解を示しました」などと尋ねられた秋篠宮さまは、このように答えている。

 佳子さまは生まれてから30年もの長い間、「あなたは、結婚したら一般国民になります。皇族でなくなります」というように、ずっと言われ続けて育ってきた。

 それが、いきなり政府から「結婚しても皇室に残ってください。内親王として仕事を続けてもらいたい」と、変更を告げられても佳子さまは大変、困るであろうということだと思う。これは愛子さまも同じ思いではなかろうか。

 いずれにせよ、天皇、皇后両陛下も注意深く議論の推移を見守っているはずである。どのような結論が出されるのかは不明であるが、大変、デリケートな問題だけに佳子さまと愛子さまの親しい内親王同士、密接に連絡を取り合うのではなかろうか。おふたりには、自分たちが望む幸せな人生を送っていただきたい。