2025年2月末、アメリカ・アリゾナでの『ドジャース対エンゼルス』オープン戦でグラウンドに駆け出す大谷翔平(写真/産経ビジュアル)

 2025年3月18日の開幕を前に、まもなく帰国予定の大谷翔平。“凱旋試合”とあって、日本ではすでにフィーバーが始まっている。

日本で初めて“ドジャースの大谷”としてプレー

「3月6日から東京の渋谷に期間限定でオープンしたメジャーリーグの公式ショップには開店前から長蛇の列ができていました。

 開幕戦の観戦チケットも入手困難。高額で転売されていましたが、公式サイトで注意が呼びかけられると、3月7日には複数枚のチケットを無効にしたとの情報も発表されました」(スポーツ紙記者、以下同)

“ドジャースの大谷”としては、初めて日本でプレー。ここまで順調に調整ができているようだ。

「日本時間3月1日、今年初のオープン戦の1打席目でホームラン。3月7日の試合では2安打を放つなど、4試合連続安打と今年も打撃が期待できそうです。今年は投手としても復帰予定。キャッチボールは継続して行っていますが、状態を見ながら慎重に二刀流の復活を目指しています」

 昨シーズンは、54本塁打59盗塁を記録。史上初となる“50-50”を達成。ドジャース移籍1年目でワールドシリーズ制覇にも大きく貢献した。2025年はどんなシーズンになるのか。

ドジャースでは初めてのマウンド

'23年のWBCでは投手としても活躍した大谷翔平。来年は二刀流の復活をファンが待っている

 メジャーリーグ研究家の友成那智さんに聞いた。

「投手としての復帰は5月くらいになるので、それまでは昨年と同じく打者として出場することになるでしょう。打つほうでは、ホームラン44本。盗塁は昨年に左肩をケガしたことやピッチングも考慮すると、15から20盗塁くらいになるかと。

 昨年は1番が多かった打順ですが、投手として投げてからすぐに打席に立つのは大変なので、登板する日は2番で起用されるかもしれません」

 2年ぶり、ドジャースでは初めてマウンドに上がることになるが、投手としてはどれほどの成績が期待できるのか。

「ドジャースと同地区の他球団の戦力を比較すると、レギュラーシーズンは100勝以上の独走で地区優勝をすると思います。チームとしても大谷選手がポストシーズンのある10月にピークを持ってこられるように計算していて、5月に復帰、6月から本格的にローテーションに入ることになるでしょう。20試合前後の登板で11勝くらい。

 総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、MVP選出に大きく関係する“WAR”は投手で2.5、打者として6.0で、合わせて8.5。8.0を超えればMVP級なので、今年もMVPになるでしょう」(友成さん)

 ホームランや盗塁が減ってしまうが、投手での活躍も合わせて今年もMVPと予想。

 一方で、スポーツライターの小林信也さんは、右肘と左肩のケガから復帰1年目ということが影響すると見る。

「昨年の成績が驚異的すぎることと、二刀流になると疲労を考慮して休む試合が増えて打席数が少なくなるので、目に見える数字としてはどうしても減ってしまうでしょう。なので予想というよりは、これくらいできればすごいという設定値で考えています」

 としたうえで、投手・大谷についてこう話す。

2度の手術と選手生命

「右肘の状態を確認しながらになるので、登板数も限られて4勝くらい。1勝でもできれば復活したと言っていいと思います。というのも、大谷選手は右肘の手術を受けるのが2度目で、そこから復活して活躍した選手の例は少ない。ドジャースとしても無理はさせないので、4勝したら来年につなげるでしょう」(小林さん、以下同)

 昨年は圧倒的な記録を残した打者としてはどうか。独自の視点でこう分析した。

「二刀流をやるので、ロバーツ監督も休ませながら起用することになると思います。ホームランは40本以上打ったら素晴らしい。盗塁に関しては、投手もやると、どうしてもケガが怖い。盗塁は不安があるとできないので、25から30盗塁したらすごいと言っていいでしょう。2度目の手術を受けたことで、投手としての選手生命はそう長くはない。

 個人的な考えですが、守れなくなるようなケガをする前に、野手に専念してホームラン60本を打ち、守備で好プレーをする大谷選手も見たい。徐々に打つほうに専念するきっかけの年になってくれたらとも考えます」

アジア人で初のメジャーリーガーも予想

大谷翔平と日本人初メジャーリーガーの村上雅則さん(ドジャース専属カメラマンのインスタグラムより)

 プロの“大先輩”は、どんな活躍を予想するのか。アジア人として初のメジャーリーガーで、南海(現ソフトバンク)や阪神、日本ハムでもプレーした村上雅則さんが語る。

「4月から投げると思っていましたが、ドジャースは慎重なようで、それは彼にとっていいことですね。5月に復帰して、少しずつ投げるイニングを伸ばしていって。チームの打線の状態にもよりますが、10勝近くはいくと思います。10勝したら合格点」

 打撃に関しても球界の“レジェンド”は、こう期待を込めた。

「ホームランは最低40本、できれば45本打ってほしいですね。盗塁もしてもらいたいけど、無理に走らなくていい。40盗塁くらいで“40-40”を達成してくれたら十分な働きでしょう。ファンは今年も50本塁打と50盗塁を期待するかもしれませんが、OBとしては40-40で100打点、打率3割。それくらいはできますし、してほしいなと思います。今年もMVPを狙える成績は残せるでしょう」(村上さん)

 スポーツライターやOBがさまざまな分析をする中、ファン目線で今年の大谷はどうか。芸能リポーターの川内天子さんに聞いた。

2024年の優勝パレードに真美子さんとデコピンと参加した大谷翔平(大谷翔平のインスタグラムより)

大谷パパが子どものために

「大谷選手に関しては、これまで絶賛しかなかったのですが、初めて不安を感じています。左手をつかない新しいスライディングのスタイルを見て、素人ですが“これで大丈夫なの? アウトになりやすいんじゃないの?”という感じ。立ち上がったときにユニフォームが破れていたので、こんなに負荷がかかるのかとも思いました。なので、ケガをしないか、盗塁はできるのかと不安です。

 盗塁や二刀流にこだわらなくても魅力は十分に伝わるよ、と言ってあげたいです。余計な心配だとわかっていますが……」

 大谷はこれまでも想像をはるかに超えてきただけに、不安だけでなく期待も大きい。

「どこまでいくんだろうというワクワク感がありますし、日本で試合をするのが待ち遠しい。不安材料もあるから、関心度はこれまで以上になりそうです。

 あとは、子どもの誕生! どんな子どもなんだろうとか考えてしまいますし、子どもが生まれたことで発奮する大谷パパも見たいです。今から大谷選手と真美子さん、生まれてきた子ども、デコピンの“家族4人”がパレードカーに乗っている姿を想像して、楽しみにしています」(川内さん)

 これまでも見る人の想像を超えてきた大谷だが、今年はどんな姿を見せてくれるのか。“SHOW TIME”の幕開けは、もうすぐだ。