真夜中のサーカス

 3月25日、異色の5人組エンターテイメントグループ『真夜中のサーカス』のお披露目公演が東京都台東区の劇場『キネマ倶楽部』で行われる。

 構成を担当するのは、元ジャニーズJr.で4人組グループ『MADE』のメンバーとして活躍していた秋山大河。現在は振付やキャスティングなどの裏方として仕事を行なっており、今回は『真夜中のサーカス』のデビュー舞台を支えている。

芸能界から一度離れた過去があるメンバーも

 同グループは映画のような世界観を楽曲に落とし込んでいて、ライブでは観客がその世界観を体感できるような演出にこだわるという。グループのリーダーで、俳優としても活動する高士幸也は、グループのコンセプトについてこう説明する。

「一般的な舞台と違って、お客さまを巻き込んでいく“イマーシブ”という演出が僕たちの重要なコンセプトであり、魅力の1つです。普通の舞台やライブでは、客席と舞台が分かれていますが、僕たちの場合は舞台と客席の境界線がありません。お客さまには僕らの世界観に没入してもらって、一緒に舞台を作っていくので、開演から終演まで、暇な時間はないと思います」

 5人のメンバーは全員、俳優や歌手としてそれぞれ芸能界で活動してきた。その過程で各々がそれぞれの葛藤を抱えてきたという。グループ最年少の琉翔は幼少期から子役として活動していたが、一時は芸能界から離れたこともあったそう。

「小さい頃はお芝居は遊びの延長戦で、仕事とは思っていませんでした。年齢が上がるにつれて仕事という自覚が出て、表現の世界で活躍することがいつしか夢に変わっていきました。でも、お芝居がもっと好きになった分、自分のダメなところも見えてきて……。どんどんネガティブになってしまい、高校を卒業する直前に芸能界から離れました。

 こんな姿で人前には立てないと閉じこもっていた時、今の事務所に声をかけていただいて、忘れていた表現の楽しさを思い出して。だからこそ、僕にとって『真夜中のサーカス』はもう一度、輝きたい場所になっています。僕という人間が変わる瞬間や、この世界で生きていく覚悟が、舞台を通じて伝わればと思います」

「葛藤や苦しい過去がグループの味」

 阿部大地はドラマや舞台などで役者として活動を続けてきたものの、思うように芽が出ず、プレイヤーではなく脚本や演出などの裏方に専念しようと考えていた。しかし、そのタイミングで、同グループに加入の誘いを受けたという。

「僕は8年間ずっとお芝居をしてきて、いろんな関係者の方に“売れるよ”と言われ続けてきたんですけど、結局売れていなくて。『真夜中のサーカス』に加入する前まで、歌とダンスがとにかく苦手で“二度とやらない”と啖呵を切っていました。

 でも、もしかしたらそういう逃げの姿勢が自分のダメなところだったのかもしれないと今は思います。グループに加入したことを機に、歌やダンスに挑戦することになりました。自分が逃げてきたことと向き合うことで、殻が破れるんじゃないかと思っています」

 グループでは仮面を被り、Nicoとして活動する新里宏太。過去にはアニメ『ONE PEACE』のオープニングテーマを歌い、レコード大賞最優秀新人賞を受賞したこともある。

Nicoこと新里宏太

「デビューしたのが右も左もわからないころの17歳で、有名作品の主題歌だったということもあって“自分の実力はすごい”と自惚れモードに入ってしまい……。気が付いたらたくさんの人が自分の周りから離れてしまっていて。新里宏太という存在で活動をすると雑念があるので、別人格のNicoとして仮面は外さず活動をしていく予定です。今回のグループでの活動は自分の人生の中で久しぶりの転機だと思っています」

 こうした各々が抱える葛藤や苦しい過去がグループの味だと、新里は続ける。

「メンバー全員がそれぞれ挫折を経験していて、再起のための“何か”を探しています。全員が沸々とした熱量を抱えているので、本番はそういう思いがぶつかり合って、化学反応が起こるんじゃないかなと思います」

今後の俳優人生の分岐点となる舞台

 ミュージカル『テニスの王子様』でデビューし、今も舞台を中心に活動する潮見洸太は一見、俳優として順風満帆な道を歩んでいるように見えるが、グループでの活動にかける思いはひとしおだという。

「僕は、このグループに注ぐ熱量が今後芸能界で頑張れる熱量に比例すると思っています。グループでの活動で結果を出せなかったら、今後俳優としても結果を出せないような気がしていて。今はどちらも中途半端にできない、大事な分岐点です。そういう覚悟をすべて3月25日の舞台にぶつけたいと思っています。覚悟を決めて死ぬ気で頑張りたいです」

高士幸也

 メンバーの熱意と覚悟を受け、前出の高士もこう意気込みを続ける。

「本番まで、ここからさらにブラッシュアップしていくつもりです。チケット代分の満足だけでなく、“もっと出す価値があると思ってもらえるようなパフォーマンスをしないと“と思います」

挫折から這い上がっていく彼らの活躍に目が離せない。

【真夜中のサーカス公式HP】
https://www.monsterfarm-official.com/midnight-circus

【真夜中のサーカス】「The First Call」チケットページ
https://t.livepocket.jp/e/mayonaka_firstcall