『あんぱん』と『おむすび』

 現在放送中の連続テレビ小説『おむすび』に代わり、31日から新スタートする『あんぱん』。3月20日に報じられたヒロイン同士のバトンタッチセレモニーのニュースが話題を集めている。

『おむすび』と『あんぱん』のヒロインによるバトンタッチ

多くの期待が寄せられた次期朝ドラ『あんぱん』のメインビジュアル(公式インスタグラムより)

 セレモニーは先日、NHK放送センターにある『あんぱん』を撮影中のスタジオでおこなわれ、『おむすび』のヒロイン・橋本環奈と、『あんぱん』のヒロイン・今田美桜が出席。ドラマのタイトルにちなんで本物の“おむすび”と“あんパン”を贈り合ったあと、橋本から今田にバトンが手渡されたという。

「毎回、新しい朝ドラが始まる前におこなわれる同セレモニーですが、ネットの反応としては、その稚拙な筆致から“浅ドラ”と揶揄されている『おむすび』より、アニメ『アンパンマン』の生みの親である漫画家・故やなせたかしさんと妻をモデルにした『あんぱん』への期待は大きいようです」(芸能プロ関係者)

 やはりギャルから管理栄養士になるという思い付きのようなストーリー展開より、実在の人物を題材にしたほうが見応えがあるということか。
 
 ただ最近、このバトンタッチセレモニーがおこなわれるたびに、不満の声が渦巻いているのだという。

「昨年2024年9月には『虎に翼』のヒロイン・伊藤沙莉さんから今回の橋本さんにバトンが渡されています。また同年3月には『ブギウギ』のヒロイン・趣里さんが伊藤さんへバトンを手渡していますが、つまりどの作品のヒロインも、すでに有名な女優ばかりではないかという声が絶えないんです」(芸能プロ関係者)

 今回のセレモニーが報じられた際にも、こんな声が。

《新しい人を発掘しようとは思わないのかな》

《まだ世に出ていない新人発掘に戻らないだろうか》

《近年は若手女優で視聴率を稼ぎたいのがミエミエですね》

《もう既に有名な方は、朝ドラヒロインには要らない》
 
 と最初から話題作りのためのキャスティングだと辟易するユーザーも多い。

新人女優の登竜門だった朝ドラ

2014年 イベントに登壇した山口智子 撮影/伊藤和幸

「かつて朝ドラは新人女優の登竜門と言われ、無名ながら光る原石をオーディションを通して発掘するのが当たり前でした。1988年の『純ちゃんの応援歌』では山口智子が抜擢され、96年の『ひまわり』では約2000人の中から当時モデルだった松嶋菜々子が起用されました。本作が初主演作です。
 
 他にも2001年、国仲涼子が『ちゅらさん』のヒロインとして一躍ブレイク。視聴者は、そんなまだ演技もおぼつかない頃から国民的女優に成長していくさまを見守るのが楽しみでもありました」
(前出・芸能プロ関係者)

 だが今はほぼ半分が直接オファーの“一本釣り”、もしくは全くの無名女優はあまり選ばれなくなっている。

「『ブギウギ』の趣里、また『あんぱん』の今田もオーディションから選ばれたそうですが、すでに認知度もある人気女優です。そして『虎に翼』の伊藤と今回の『おむすび』の橋本は、スタッフから直接指名されたパターン。もはやその顔ぶれは民放ドラマとあまり変わらなくなりつつある」(前出・芸能プロ関係者)
 
 NHKは人気女優の獲得に躍起になるより、視聴者が喜ぶ作品を作ってもらいたい。