秋篠宮さまの59歳の誕生日を迎えたご一家(2024年11月30日)写真/宮内庁提供

「はい。まず家族の存在についてですが、家族は一人ひとりが、大切な存在であると考えています。

(中略)姉たちは年が離れていますので、両親が国内や海外に出かけているときに一緒に遊んでくれたり、本を読んでくれたりして、世話をしてくれることがありました。御料牧場に家族で行ったときには、イチゴを収穫して一緒にパフェを作ったことも忘れられない思い出です」

成年会見の悠仁さまと姉・佳子さま

初めての記者会見に臨んだ悠仁さま(2025年3月3日)写真/宮内庁提供

 秋篠宮ご夫妻の長男・悠仁さまが3月3日、東京・元赤坂の赤坂東邸で初めて記者会見を行った。当時、筑波大学附属高校3年生だった悠仁さまは、昨年9月6日の誕生日で18歳となり、成年皇族の仲間入り。

 しかし、大事な大学受験を控え成年会見は延期されていたが、筑波大学生命環境学群生物学類に合格し、今年4月から筑波大学生となることが決まったこともあり、この日の記者会見となった。

 冒頭、悠仁さまは、「はい。まずご質問へのお答えに先立ちまして、現在、岩手県などで発生している山林火災により被害が生じていることを案じております。これらの火災によって、被害を受けられた方々に心からお見舞い申し上げます。また、この火災が1日でも早く収まることを願っております。では、ご質問へお答えいたします」と述べ、山林火災の被災者たちへのお見舞いの言葉からスタートした。

 記者から、「ご家族についてお聞きします。ご両親、姉の小室眞子さん、佳子さまはそれぞれどのような性格で、悠仁さまにとってどのような存在でしょうか。成年にあたって、ご家族からかけられた言葉やふだん話されている会話についてもご紹介ください」と質問されたのを受け、冒頭のように姉、佳子さまたちとの思い出などを紹介している。

「両親が国内や海外に出かけているときに一緒に遊んでくれたり、本を読んでくれたりして、世話をしてくれることがありました」

 会見で、悠仁さまがこのように話したとき、とっさに私が思い浮かべたのは、佳子さまが詠んだ次の和歌だった。

《弟に本読み聞かせゐたる夜は旅する母を思ひてねむる》

 以前、この連載で紹介したことがあるが、これは2015年、新春の歌会始で佳子さまが詠んだものである。お題は、「本」だった。宮内庁の説明によると、眞子さんが海外留学中で、秋篠宮ご夫妻が国内や外国を訪問して留守の間、弟の悠仁さまと佳子さまは一緒に過ごす。夜、就寝する前、弟に本の読み聞かせをしながら佳子さまは、仕事で遠くにいる母親、紀子さまのことを思った情景を詠んだという。

 また、佳子さまは前年の'14年12月、20歳の成年の誕生日を迎える前の記者会見で、このように答えている。

「弟につきましては、私は幼いころから弟か妹が欲しいと思っておりましたので、弟が生まれたときは非常にうれしかったことをよく覚えております。年は離れておりますが、ケンカをしたり一緒に遊んだりしております。最近は姉が海外にいて、また、両親も仕事で家にいないことが多かったため、二人で折り紙をしたり本を読んだりして過ごす時間もございました」

佳子さまを慕う悠仁さま

学習院大学の学生だったころの秋篠宮さま(右)と紀子さま(写真/宮内庁提供)

 佳子さまと悠仁さまは、このようにとても仲がいい姉弟である。12歳も年が離れているが、姉は弟の面倒を実によくみるし、弟は心の底から佳子さまを慕っている。この姉弟愛は、生涯にわたって続いてほしいと、私は願っている。

「まず海外留学についてですが、海外に行くことによって、今までとは異なる経験をすることができたり、さまざまな国や地域から集まった人々やいろいろな文化に出合えたりすることができると思います。

 また、学問の面でも、新たな学びの視点を得ることができると思います。以前に父や姉も留学をしていたことがありましたし、母も海外で生活していた時期がありました。家族の意見もよく聞いて検討してみようと思います。

 続けて、結婚についてですが、理想の時期や相手についてまだ深く考えたことはありません」

 記者から、「将来についてお尋ねします。ご両親は悠仁さまに将来留学することをおすすめしていると話されましたが、海外留学についてはどうお考えでしょうか。ご自身の結婚についてのお考えと理想とする時期やお相手像についてもお聞かせください」と尋ねられた悠仁さまは、前述のように答えた。

 大学に入学した後、悠仁さまは、大学院進学や海外留学などを視野に入れていることだろう。もちろん、勉強や研究に励むことはとても大事なことだ。しかし、悠仁さまは秋篠宮さまに次いで、皇位継承順位第2位であり、将来、天皇陛下となる重い立場にある。現在、皇室は、若い女性皇族が結婚と同時に民間人となってしまうなどの理由で、皇族数が減少する傾向にある。さらに、皇位継承者である男性皇族を増やさなくてはならない課題も残る。このように、成年となった悠仁さまが、果たすべき役割は、小さいものではなく、置かれている立場は一般の高校生や大学生たちと大きく異なる。その点をしっかりと認識してもらいたい。

 1985年5月、学習院大学法学部2年生の秋篠宮さまは、文学部に入学したばかりの紀子さまと大学構内の書店で初めて出会った。すぐに秋篠宮さまは、当時、上皇ご夫妻たちと暮らしていた東宮御所に紀子さまを招き、両親に紹介した。そして、翌'86年6月、紀子さまにプロポーズし、'90年6月29日、二人は結婚した。

 このとき、秋篠宮さま24歳、紀子さまは23歳の若いカップルだった。

 '85年11月、20歳の成年の記者会見で秋篠宮さまは、「結婚はあまり遅くならないほうがいいと考えています。30歳よりかは前にしたいですね」などと答えていたが、この言葉どおり、20代前半の早い結婚だった。おそらく、多くの国民は、24歳で結婚した父親のように、悠仁さまも早く結婚し、幸せな家庭を持つことを望んでいるのではなかろうか。皇室の安定のためにも、悠仁さまにはそれが期待されている。

「結婚につきましては、将来的にはしたいと思っておりますが、来年の春から、また再び大学生になりますし、現在は考えておりません。理想の男性像は、一緒にいて落ち着ける方がいいと思っております」

 '14年12月、成年の記者会見で結婚についてこのように答えた佳子さまも、結婚すると皇籍を離れてしまう。理想の相手が現れる前に悠仁さまは、佳子さまから仕事のことなど、多くのことを学び、そして吸収してほしい。意中の女性の相談にも、佳子さまは、優しく応じてくれるかもしれない。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など