着信は“110”が表示されるのに電話の向こうは……(写真はイメージです)

「最近、実在する警察署の本物の電話番号を画面に表示させて電話をかけ、詐欺に誘導する手口が急増しています」

 警察庁が今、このような注意喚起を行っている。“警察の電話番号”は、ほとんどが一見してわかる。

「0110」知っている人ほど危ない

日本の警察署の電話番号はほとんどが下4桁が“0110”。110番が入ったもの。例外として大阪府など一部で末尾が異なる署もありますが、基本的にはこの末尾です」(犯罪ジャーナリスト、以下同)

 “末尾は0110”。これの悪用が冒頭のように今、増えている。どのようなものか。

「今年3月、新宿警察署の代表番号を悪用した不審電話が3日間で400件以上寄せられていたことが判明しました。新宿署以外の番号でもこのような電話は今年の2月から多発。着信画面に実際の警察署の番号が表示され、画面だけでは正規の電話か詐欺か判別できないのが現状です」

 警察庁は「警察から“あなたが捜査対象となっている”などと電話で伝えることはありません」と呼びかけているが、事実、警察署から電話が来ることはある。電話を受けたことがある男性は、

「警察に遺失物の届け出をして、落としたものが出てきたとき、警察署から直接、携帯に電話が来ました。また、親族が事故に遭ったときも同じく。落とし物のときは“見つかったのかも!?”とうれしい気持ちで電話に出ましたが、事故のときは“何事か”とビビりまくり。0110が警察署の番号だと知っている人ほど危ない気がします

発信番号を自由に設定されることも

 本当に警察署から電話がかかってくることはあるが、今回、警察庁が注意喚起しているのは、警察署だと偽ってかかってくる電話。なぜ電話番号を偽ることができるのか。

「『発信者番号スプーフィング』という技術があります。コールセンターなどが顧客に電話をかける際、相手にオペレーターの番号ではなく、代表番号を表示するために使われていた技術ですが、これを悪用しているのです」(前出・犯罪ジャーナリスト、以下同)

 一部のネット電話サービスでは利用者が発信番号を自由に設定できるという。

「この技術を悪用すれば、架空の電話番号、今回でいえば“実際の警察署の番号”を表示させて発信することができます。偽装番号で“ちゃんとした機関”を装い、個人情報を入手したり、金銭を支払わせたりするわけです」

被害急増により警察庁もSNSや動画で注意喚起(警察庁のXより)

 防御策は……。

警察署に限りませんが、まず知らない番号に対して慎重になること。また、番号表示だけで判断しないこと。0110から着信があれば、一度無視し、まず電話番号で検索する。それが実在するのであれば、自分からかけ直して署に確認するのも手。ただ、本当に用事があるのであれば再度かかってきます。この詐欺に関しては同じ番号に何度もかけることはないでしょう。個人情報や金銭の話を警察がその電話で聞くことはありえないので、詐欺を疑うべきです」

 この“番号”に、ピンときたら(本物の)110番?