
「世界一に向けて、新たなチャレンジを積み上げ、確実に前進していきたい」
3月20日、サッカー男子日本代表がバーレーンを下し、2026年のW杯出場を決めた翌日、記者会見を開いた森保一監督はそのように力強く語り、事実上の優勝宣言と受け止められた。
「最終予選で負けなし、得失点差22(3/25のサウジアラビア戦まで)というぶっちぎりの強さ、そしてアジア最終予選で3試合を残しての出場権獲得は開催国を除いて史上最速とされ、来年の本大会での躍進は期待が膨らむ一方です」(スポーツ紙記者)
これまで、男子A代表は2002年の日韓大会、2010年の南アフリカ大会、2018年のロシア大会、2022年のカタール大会のベスト16が最高だっただけに当然それ以上の成果が望まれている。
引き分けを見据えたPKの強化がどうしても必要
しかし、ネックになっているのは2010年、2022年大会で代表が涙を飲んだPK戦といえるだろう。
ノックアウトステージ(決勝トーナメント)に引き分けは付きものであるし、その場合実施されるPK戦を確実にモノにしていかない限りはベスト8、ましてや優勝など新たなページを刻むことは難しいことである。
前回のカタール大会はノックアウトステージ初戦でクロアチアと引き分け、PK戦では1-3で敗れ、そこで敗退となった。

「日本のキッカーは4人中3人が失敗という厳しい結果に、主将の吉田麻也は『PKに関しては運もあるけど、僕も含めて3本も外したらさすがにきつい』と述べ、反町康治氏(当時日本サッカー協会技術委員長)も『PK戦だから運に任せる、で終わってしまってはいけない』と総括しました。日本国内の世論も『もっと準備を』『普段から強化を』と怒りも含んだ意見が飛び交ったものです」(前出スポーツ紙記者)
大会後、その反町技術委員長から飛び出したのが試合結果に関わらない「親善PK」という強化策だった。
当時の報道では、「国際親善試合などを利用し、スコアにかかわらず、PK戦を実施していく」「マッチメーク時に、対戦国に積極的にPK戦練習を申し込む」というもので、W杯でのベスト8以上をたぐり寄せる切り札的な策という受け止め方もされたものだった。
しかし、育成年代の国際試合で試合結果に関わらない「親善PK」が実施された報道はあるが、A代表ではない。
報道によると、策を打ち上げた反町氏も2023年の3月には「基本的にないと思ってもらっていい」などと“立ち消え”を示唆していたようだ。理由の一つは、試合後PKを実施していたらインタビューが放送時間に収まらない、などの「テレビ放送との兼ね合い」だったという。
日本サッカー協会が「親善PKの行方」について驚きの回答
ではこの「親善PK」どうなったのか? これから実施の可能性はあるのだろうか?
週刊女性PRIMEが、日本サッカー協会(JFA)にこの件について取材を申し込んだところ、このような回答だった。
「ご質問いただいた件ですが、当時の反町委員長が指していたのは、アンダーカテゴリーでの活動時にPK戦のトレーニングを相手チームが合意すれば実施したいという旨でした。A代表の試合後はメディア対応等も含め試合後に様々なことがございますので、当初からA代表の試合時にというものは指していなかったという認識です」
報道当時はA代表で行うという受け止め方をされていたものだが……。どうやら今後も来年のW杯までにA代表での「親善PK」はなく、選手個々人のレベルアップに頼る形になりそうだ。
また、ファンの立場からすれば、テレビ放送やメディア対応よりも強化を優先して欲しいという気持ちであろう。
2026年W杯のPKもぶっつけ本番で!? 膨らむロマンに水を挿すようだが、この心配の種は解消されそうにない。