佐々木朗希

 メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希が、4月5日(日本時間6日)のフィラデルフィア・フィリーズ戦に先発登板。5回途中1失点で降板したもののメジャー最長登板を記録した。

 しかし、試合中にはメジャーに慣れていない点を露呈。それは、1回に、無死一、三塁でプライス・ハーパーと対戦する際、初球を投げる直前に起きた。

 ハーパーがルーティンをこなし、構えに入ろうとすると、既に佐々木はセットポジションに入っていた。ところが、ハーパーが間を嫌うと、球審は佐々木へ人さし指と中指で目を指さし、打者と間合いを合わせるよう注意。

 さらに審判は、バッターが打席で十分な構えをする前に投げようとする「クイックピッチ」だと指摘した。実は佐々木は、日本で行われたメジャーリーグ開幕戦のカブス戦でも同様の指摘を受けているのだ。

《恒例の外国人ルーキーいじめやろな》

 そんな審判の対応に対して、ネットからはこんな声が集まっている。

《いろいろ面倒だな》
《恒例の外国人ルーキーいじめやろな》
《アホみたいなルールやな》

 など、佐々木に対して同情的なコメントが目立つ。

 メジャーリーグがなぜ細かいルールを導入しているのか、メジャーを取材している野球ライターに聞いてみた。

「今回指摘されたクイックピッチは、打者が構える前に投げるのは危ないという理由で、前々から導入されていますが、佐々木選手が早く投げようとしたのは、メジャー独自のルール“ピッチクロック”が原因だと思われます。

 “ピッチクロック”は、試合時間の短縮を目的に2023年から導入されました。現行では、投手は走者なしだと15秒以内、走者がいる場面は18秒以内に投球動作に入るという決まりです。佐々木選手は、このルールに慣れてないから慌てたのでしょう」

 メジャーには、他にも独自のルールがある。一つは、塁間に内野手を3人置く守備陣形の禁止。もう一つは、投手の牽制球は3回までと定めた牽制球の制限だ。試合時間短縮を狙って、これらのルールが定められた。

「この試合時間短縮とデータ偏重のメジャーリーグを批判したのが、イチローさんと松井秀喜さんです。お二人は、昨年12月22、23日に放送された『情熱大陸』(TBS系)で対談した際に、松井さんから“今のメジャー見ているとストレスたまりません?”と振ると、イチローさんが“たまる、たまる。めちゃめちゃたまるよ!退屈な野球と応じた場面がありました。

 その後、データの蓄積によって、野球が統計学に支配されてしまい、かつてような試合の醍醐味を感じにくくなっている点や、試合時間の短縮を優先してルールが改正され、攻守の“間合い”がなくなることで選手個々の“感性が消えていく”ことへの危機感を訴えてました」(同・野球ライター)

 イチローも松井も日米を代表するレジェンド。現在もマリナーズ、ヤンキースとメジャー球団で仕事をしている。その二人が揃っての提言を、メジャーリーグ及び日本球界関係者はどう考えているのだろうか。