
発達障害・カサンドラ症候群を専門にした、産業カウンセラーの神田裕子氏の著書『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(三笠書房・4月24日発売)に批判が殺到している。
「周りにいる“天真爛漫なひらめきダッシュさん”をADHDタイプと行った具合に分類。タイプ別の対処法を紹介する内容なのですが、ナマケモノやサルなど動物のイラストで擬人化されていたことで、差別を助長すると批判が殺到することになりました」(出版関係者)
イラストレーターは謝罪
この本の内容を把握したXユーザーが、
《これ、まずくない? 世に出していいの? 発達障害やメンタル疾患、更年期障害の人は「困った人」だって。強者側の驕りがすごいね「困った人」じゃなくて「困っている人」でしょ。「尻拭い」じゃなくて「業務上の調整」でしょ。出版社の人は誰も止めなかったの?》
と投稿すると、2225万回表示されるほど拡散されることに。中には、
《私当事者だけど周りに迷惑掛けてきた自覚あるし、私以上に発達障害な職場の後輩はまさに「困った人」で私含め皆「尻拭い」させられて来たと思っているからこの表現は事実で間違ってないです。これは困っている側に寄り添った本なので、困らせる側が自覚無しに差別とか言える話ではないのです》
本の内容を肯定する人もいたものの、
《医師による診断を受けていない他人に、事例・タイプ別という形で疾患名を割り当てる医療倫理観の欠如。疾患の特徴を動物に例えるのもよくない。コミュニケーション術や人間関係の本ではなく、差別の本》
《サルやヒツジなどの動物に例えて、人と対比した挿絵。人権尊重の姿勢に欠けており、問題に思います》
内容や表現方法を問題視する意見が殺到している。騒動を受けてイラストを担当した芦野公平氏はnoteで謝罪。
《当該装画について差別的な印象を受けたというご意見があることを、真摯に受け止めております。ご不快な思いをされた方がいらっしゃること、それ自体が大きな問題であり、表現に関わった一人として深くお詫び申し上げます。私自身、そのような意図を持って描いたものではありませんが、意図の有無にかかわらず、結果として傷ついた方がいらっしゃることの重みを受け止め、責任を感じております》
続けて、
《制作にあたっては依頼元からの明確なディレクションに沿って進めており、当初は社会的な背景を持つ登場人物をいきいきと、肯定的に描くという指示と方向性でラフを提出しておりました》
と、経緯を説明した。
「Xで新刊がネガティブにバズってる」
著者の神田氏はウェブメディア『まいどなニュース』で動物のイラストにした理由を聞かれ、
《私のクライアントもみんなピュアで可愛らしい方。出版社との編集会議の中で、『どの人もみんなピュアで』『愛らしい表現に』と話し合う中で、動物になった。人間ではなく、愛されるキャラクターにできないか、と相談する中でそうなった》

と答えている。しかし神田氏がSNSのストーリーズ(24時間で消える機能)で、
《Xで新刊がネガティブにバズってる。申し訳ないけど(Xでの批判は)読む気はない。いつもの通りよ。宣伝効果がすごいことに》
と投稿したスクリーンショットが拡散されると、
《言葉選びというかただ単に性格が悪いだけな気がしてきた》
《いつもの通り? 悪質すぎる》
と再び炎上する事態になっている。発売前から賛否になっているが、出版社からすると、SNSで炎上商法と捉えかねない投稿を続ける神田氏が「困った人」かもしれない。