大阪・関西万博のネパール館。外装は立派だが……(Xより)

 4月13日に開幕した大阪万博で、ネパール館の工事が「本国の都合」で費用が支払えず、停止していることが明らかになった。

 工事費用の未払いが原因とされている状況で、博覧会協会は「ネパールは引き続き出展の意向を示している」と説明している。なお、ネパールのほか、インド、ベトナム、ブルネイの4か国の海外パビリオンがいまだ工事中で開館していない。

開幕前から指摘されていた“遅れ”

「この現状に対して、博覧会協会は21日の会見で、インド・ブルネイ・ベトナムについては“4月中の開館を目標に手続きを進めている”とコメントしています。インド、ブルネイ、ベトナムは単純に内装や展示工事が間に合っていないということで、ネパール館とは状況が異なるようですね。

 一方、ネパールについては、博覧会協会も“具体的な計画を聞き、協会として必要な対応をする”と曖昧な回答にとどまりました」(全国紙社会部記者)

 パビリオン工事の遅れは、開幕前からすでに指摘されていた。

 本来であれば、まず本体部分(外装)の建設を完了させて「完了証明」を取得し、その後、内装・展示の工事を経て「使用許可」を得ることで来場者を受け入れる流れになる。

 しかし、3月18日時点で完了証明が取得できたのは全体のわずか4分の1。かなりギリギリでの工事となっていた。

「工事の遅れにはさまざまな要因がありましたが、建築業界の“2024年問題”も大きな影響を及ぼしたようです。これは、2024年4月から建設作業員の時間外労働に上限が設けられ、年720時間までに制限されたもの。一人当たりの作業時間が減り、工期にも直結しました」(同・社会部記者)

「全てにおいて準備不足」

 その他、会場となる夢洲へのアクセスは橋とトンネルの2本しかないことも工事の妨げになった。2000台を超える工事車両、5000人を超える作業員が集中し、物流の混雑が発生。さらに、建設資材の価格高騰も工事遅延に拍車をかけたとされる。

大阪・関西万博のネパール館。外装は立派だが、木材が剥き出しになったままで工事が停止している(Xより)

 ネパール館の悲惨な状況に、ネット上では、

《日本がお金を立て替えて『後で返してくれれば良いですよ』とかやりそうだけど絶対ダメ》

《万博、全てにおいて準備不足》

《費用払えないなら参加しなくても良かったのでは》

《もう休憩所か売店にしろよ》

 など、批判的な声が多く上がっている。

 昨年末には、ギリシャ、メキシコ、アルゼンチン、エストニア、ニウエ、ロシア、アフガニスタン、ニジェールなど、複数の国が参加を辞退。開幕まで慌ただしい状況が続いた。

 4月21日の発表によると、チケットの販売枚数は合計1247万枚で、前売り券の目標である1400万枚には届かなかった。赤字を回避するラインは約1800万枚とされているが、会期は今年10月まで続くため、今後の来場者増に期待できそうだ。

 これ以上、大きなトラブルが起きないことを祈りたいが――。