「職業としてはやりたいと思わないですね。大変だもん! でも役としてはやってみたかった。そして、ついに来た! ついに来たけど……翔(菅田将暉)と入れ替わるのが早い(笑い)」
7月24日スタートの新ドラマ『民王』(たみおう)で総理大臣・武藤泰山を演じる遠藤憲一。アクシデントによって大学生のおバカ息子と、心と身体が入れ替わってしまうファンタジーコメディーだ。
「菅田くんも大変だよね。若くして総理大臣だから(笑い)。俺はアニメソングの振り付け……とかもやるんだけど、ダンスとか覚えるの、すっごく遅くて(苦笑)」
日本を代表する(!?)コワモテ俳優が、女子力の高い大学生に。"絶対なりたくない姿"も披露するとのこと。
「まるでありえない出来事が起きたときに、右往左往しながら、必死にその場を乗り越えていく。突然、総理になったドギマギ感や必死さ。菅田くんは心の中は大ベテランのオヤジなのに、就活したり彼女とも付き合っていく。笑いとスリル、キュンキュンが混ざり合う、いいエンターテイメントになると思ってます」
前クールは『Dr.倫太郎』『ヤメゴク』『不便な便利屋』に出演。放送中の『ちゃんぽん食べたか』、来年の大河ドラマ『真田丸』と作品が途絶えることはない。
「休み? 今はないですね。覚えるのが遅いほうなので、本当は休みながら動いていくほうがいいんだろうけど……。苦手な部分を越えていくチャンスなんだろうなと我慢しています(笑い)」
先月、54歳を迎えた。
「俺、年とともに、余裕が生まれると思ったけど、むしろいっぱいいっぱいで(笑い)。経験を重ねることで、いろんなことが深く、楽になると思いきや、全然ならないですね。やるほどに、どんどん大変になっていくのかもしれない。若いころに描いていたイメージとは全然違うけど、でも、それはそれで、予想どおりに運ぶよりいいのかな」
ちなみに、連ドラ主演俳優となった今も、コワモテ伝説は健在?
「去年のことなんですが、日中にいっぱい人がいる中をウォーキングしてて、俺、通りすがりのパトカーをちょっと見ただけで、いきなり職務質問!! キャップを脱いで"俳優なんですけど"って言ったら、"あああ! 本当だ"だって(笑い)。せっかくだから"こんなに人がいるのに、なんで俺だけを一本釣りなんですか?"って聞いてみたら、"パトカーを見た目が鋭かったから"だって。もう、俺、パトカーが来ても見ないもん。でも、それはそれで素振りが怪しくなるから、パトカーが来るとやっぱりドキドキするよね(笑い)」
エンケンさんを癒してくれるもの
「唯一、ウォーキングくらいかな。すっごい素朴だけど。職質の懸念もあるけど(笑い)。ポケットに文庫本を入れて、音楽聴きながら歩いて、中間点の喫茶店でそれを読んで、帰ってくる。本当は、放浪癖なところあるんで、もっと遠いところに行きたいんだけどね。最近は、あんまり飲みにも行かなくなりました。外に出ると、ヘロヘロになるまで飲んじゃうから(笑い)。前は平気だったのに、酒が残って(翌日の)集中力が欠けるようになっちゃって。だから、休みの前の日にしか行かないかな」
撮影/廣瀬靖士