『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ)、『37•5℃の涙』(TBS)に出演中! 『ふたがしら』(WOWOW)は放送が終わったばかり。どの作品でも大役を担い、俳優としての充実ぶりがうかがえる。そんな成宮が出演するスペシャルドラマ『妻と飛んだ特攻兵』(テレビ朝日)が終戦記念日の翌16日に放送される。
「戦争作品はやり尽くされている感じもありますが、でも、この史実に基づくストーリーが今まで埋もれていたのは、偶然じゃないと思うんです」
“女だ、女が乗ってるぞ!”
玉音放送から4日後の1945年8月19日。海を隔てた満州で同じ戦闘機に乗り込んで特攻し、そして散った夫婦がいたことをご存知だろうか?
「戦争作品ではありますが、それとは真逆のところにある夫と妻のラブストーリーでもあるんです」
本土決戦が叫ばれるようになり、陸軍少尉・山内節夫(成宮寛貴)は、妻・房子(堀北真希)を任地の満州に呼び寄せる。しかし、比較的安全だったのはつかの間。ソ連軍の侵攻により、関東軍と日本人開拓団は次第に追い詰められていく……。
「終戦を迎えてからが、満州は本当の戦争だったんです。山内の特攻は満州の日本人を守るために、そして妻を守るために、違反だとわかっていながら決めたんです。軍人としてではなく“個人”として。房子もまた“何があっても夫と一緒”という一途さを貫いた。何というか、愛を守るための行動は、身勝手ではない気がします」
戦争当時の感覚は、今とあまりにも違う。しかし、この夫婦愛に共感できる人は多いはずだと語る。
「終戦から70年が経過し、実際に戦争を経験された方が少なくなってきました。その中で、実際にあったことを時代に合わせて伝えていくことは、やっぱり大事だと思うんです」
衝撃的だった『相棒』卒業から4か月が経過。反響は、とても大きかったと振り返る。
「卒業することを(解禁のタイミングまで)言えなかったんですよ。知っていたのは、水谷豊さんとプロデューサーだけ。共演者もスタッフも、最終話の台本を読んで初めて知ったくらいで。だから、新しい仕事のオファーも受けられず、一瞬、仕事がまったくない状態になってしまって(笑い)。本当はこの機会に、ちょっと休もうと思ったんですが」
しかし意に反して(?)、続々と出演のオファーが。ゆっくりすること以上に、水谷のもとで学んだことを違う場所で試したい欲求が勝った。
「俳優を続けていると、時に馴れ合いや諦めを感じることがありました。“こうしておけばいい”みたいな。でも、そうじゃない。“こうしたい!”をやっぱり突き通していいんだ、と。作品と水谷さんから教えられた気がします。その魂を」
『相棒』の“甲斐亨”という当たり役を降りたからこそ、迎えられた飛躍の時。
「すごくいいタイミングだったと思っていて。物足りなさというか、“もうちょっとやりたかったかな”と思うときが、きっとベスト。これからは、自分をより知ってもらうというより、密度の濃い作品を見つけていけたらいいなと思います」
デビューして15年。母を亡くした14歳のときに、6歳下の弟を養うことを決意。小・中・高の卒業を見守り、あえて浪人もさせ、一流大学へ通わせた。その弟も就職し、晴れて結婚した。
「荷が下りたっていう感じですね。ただ、荷物を背負ってる時間が長かったので、荷物がないと……調子がおかしいです。だんだん、しっくり来ることを願っています」
弟のために始めた俳優業。これからは、自分自身のために演じていく―。
7年ぶりの丸刈り
「役によって髪型を変えたり、細かいことを言えば眉毛の形を変えたり……外見で工夫できることはやるタイプ。ただ丸刈りにすると伸びるまでに時間がかかるし、役も限られてしまうので、なるべく避けるんですけど、でも、この作品だったらと思ったので切りました。見慣れないし、今まで似合っていた服も似合わなくなったり(笑い)。でも、すごく快適です(笑い)」