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 世界40か国語以上で翻訳され、3500万部以上の売り上げを誇る児童小説のベストセラー『パディントン』シリーズ。イギリスの国民的キャラクターとして愛される“紳士なクマ”パディントンを映画化した作品で、洋画吹き替えに初挑戦した松坂桃李。

「ロンドンは、まだ行ったことがないんです。だから、映像を見ながら、こういう感じなんだなって」

 幼いころ“パディントン”にふれたことがあったかを聞いてみた。

「フィギュアスケートの羽生くんが持っているのは……、プーさんか! 間違えました(笑い)。小学校の図書館にあった認識はあるんですけど、読んだことはなかったですね。今回の映画を見る前は、子ども向きの作品なのかなって思っていたんです。

 でも、そんなことなくて、赤い帽子にブルーのダッフルコートを着たパディントンの“クマクマしい”動きは、もちろんすごくかわいいし、ロンドンの情緒あふれる風景を見るのも楽しい。それに、人の心情にグッとくるような描き方をされているので、幅広い年齢の方にほっこり見ていただける感動作になっていると思います」

 ペルーのジャングルから“素敵な家”を探しに、大都会ロンドンのパディントン駅に降り立ったクマが、親切なブラウン一家と出会うことから始まる物語。駅名にちなんで“パディントン”と名付けられた好奇心旺盛なクマには、すべてのことが初体験で、ドタバタの連続。

「僕の旅先での失敗談ですか? 仕事で海外へ行くことは多いです。でも、さすがにパディントンのように、お風呂で大事件を起こしたりすることはありませんね(笑い)。でも、水が出ないとか、冷房が調整できなくてブルブル震えて眠れなかった経験なんかはあります」

 もし、現実でパディントンに騒ぎを起こされても「キラキラした目でなにをやってもかわいいから、ブラウン一家の奥さんのように受け入れてしまうと思う(笑い)」と、語る。“家族”も今作のテーマのひとつ。具体的に考えたことは?

「作品で家族を持つ役を演じたことはあるんですが、実際の自分の“家族”のことって、考えたことなかったです。完全に想像になっちゃいますが、“守るものが、ひとつできる”感じなんですかね。パディントンほどではないですけど、僕にもやんちゃな甥っ子がいるんです。もともと子どもは大好き。甥っ子ですら、すっごくかわいいから、自分の子どもだったら、どうなっちゃうんだろうって思います(笑い)」

撮影/廣瀬靖士