水素の力で病気のもとを取り除き、糖尿病や高血圧、肩こり、アルツハイマー病、パーキンソン病などの予防や症状の改善効果が確認されている。現在もさまざまな症状や病気の治療に取り入れるべく、たくさんの研究が進められている。
「’07 年に発表された論文によって、医療分野に大きな衝撃が走りました。水素が持つ悪玉活性酸素を還元する力─抗酸化作用について、初めて明らかにされたからです」
こう語るのは、辻クリニック院長の辻直樹医師。
悪玉活性酸素は、身体の細胞や遺伝子などを酸化させ、老化や万病の原因となるもの。ストレスや飲酒、喫煙、負荷の重い運動などによって、普段より多く発生し、元来備わる抗酸化力だけでは対処しきれなくなる。これを取り除いてくれるのが、水素などの抗酸化物質だ。しかし抗酸化作用を持つ物質は、ビタミンCやビタミンE、コエンザイムQ10など、水素以外にもたくさんある。なぜ、水素だけがここまで注目されているのか。
「それは、水素にしかない特徴があるから。水素には、ほかの抗酸化物質と大きく異なる点がいくつかあります。その中のひとつは、身体中のどこへでも行きわたるという点。宇宙一小さな分子ですから、骨や皮膚はもちろん、血管などをも通過できるので、身体のどの部分にある悪玉活性酸素にも対応できるのです。また、ほかの抗酸化物質は抗酸化力が強すぎるため、身体の機能を保つ働きをする善玉活性酸素までも除去してしまいます。その点、水素は身体に害悪をもたらす悪玉活性酸素のみを除去することができます」
悪玉活性酸素と水素が結びつくと水と酸素に分解され、とりすぎた水素はそのまま身体の外に抜けてしまう。副産物も副作用もない、まさに理想的な抗酸化物質なのだ。しかし、前出の辻医師はこう語る。
「勘違いしてしまいがちですが、水素が病気を治すわけではなく、あくまで身体に害のある悪玉活性酸素を除去しているだけ。水素を日常生活にうまく取り入れることで、身体の機能や抗酸化力を元に戻すことができるため、治癒力が高まる。すると、自力で健康な状態へと戻っていくことができるのです」