予期せず訪れる「もしも」のとき、スマートな作法を身につけて亡くなった方をしっかりと偲(しの)びたいもの。そこで、時代とともに変わりつつある葬儀のマナーについて、年間2万件を超える仏事相談に無料で答える「大野屋テレホンセンター」所長・川瀬由紀さんに伺いました。

■そこまで親しくない方の葬儀は通夜だけでもいい?

 本来、通夜は遺族や近親者など故人と深いかかわりを持つ人たちが集まり、夜通し故人との別れを惜しむもの。告別式は故人にゆかりのある人々が、故人に別れを告げる儀式です。都合がつく限り、一般の参列者は告別式に出席するほうがいいでしょう。告別式後の出棺は、できるだけ多くの人で見送りたいものです。

■受付ではなんて声をかけるべき?

 葬儀や告別式に参加するときに、はじめに足を運ぶのが受付です。受付では特に気のきいた言葉を言う必要はなく、黙って目礼をして香典を渡して記帳をし、斎場に入場してかまいません。なにか言葉をかける場合は、「ご霊前にお供えください」と言いながら香典を渡すのがいいでしょう。

■連名で香典を包むときの表書きは?

 3名までなら全員の名前を記してかまいません。その場合、年齢や役職などが高い順に右から書きます。3名以上の場合は「○○○一同」とグループ名を記したり、代表者の名前のあとに「他一同」と書くのがいいでしょう。その場合は、香典を包んだ全員の名前と住所を書いた紙を中に入れておきます。

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■葬儀の最中に写真を撮るのって失礼?

 記録写真として遺族に頼まれている場合を除いて、基本的に斎場の中での写真は控えましょう。通夜ぶるまいの席でも同様です。衝動的に撮影してしまうと、後々、写真の処分に困ってしまうことも。なんらかの理由で葬儀の写真を残しておきたい場合は、撮影の前に必ず遺族に確認をしましょう。

■通夜ぶるまいは遠慮しても大丈夫?

 通夜ぶるまいは、遺族や親類縁者などが集まって故人を偲ぶ会食の席です。案内された場合は固辞せずに、席に着くようにしましょう。故人を真ん中にすえて新しいご縁を結ぶことも供養のひとつだと考えられており、基本的にはひと口でも箸をつけるのがマナーとされています。

■身内以外は火葬場へ同行してはいけない?

 親族やあらかじめ喪家から声がかかっている人は、告別式のあと火葬場へ向かいます。遺族側はあらかじめ人数を把握して移動手段や精進落としの用意などをしています。声がけがない場合は火葬場への同行は控え、一般の参列者は、出棺後、静かにその場を立ち去りましょう。

■平服って書いてある場合、どんな服?

 近年、ホテルなどの会場で「お別れの会」「偲ぶ会」を開催する葬儀が増えつつあります。平服といってもカジュアルな装いはNG。光沢のない素材の黒や紺、グレーといった色合いのワンピースやパンツスーツが無難です。あくまでも、故人を偲ぶ席だということを忘れずに。

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(イラスト/上田惣子)