大ヒット著書『腸内革命』などで知られる感染免疫学の第一人者、藤田紘一郎先生によれば、脳内で幸せ物質として働く神経伝達物質の材料や、免疫細胞の多くは腸内細菌がつくっており、納豆(納豆菌)やみそ(麹菌)、漬物(乳酸菌)、ヨーグルト(ビフィズス菌)など生きた菌を体の中に入れると腸内細菌が活発になって免疫力がアップするのだそう。では、そんな藤田先生が、ふだん実際にどんなものを食べているのか気になるところ。早速、取材しました。

 

ふじた・こういちろう●1939年、中国東北部(旧満州)生まれ。東京医科歯科大学卒業、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京医科歯科大学名誉教授。カイチュウ博士としても有名。著書は『腸内革命』『脳はバカ、腸はかしこい』など多数。

 

■高かった血糖値が糖質制限で改善!

「50歳からは食べ方を変えなさい」という藤田先生。実は10年ほど前に東南アジアで長期の医療調査を行っていた際、熱中症予防にとスポーツドリンクを毎日ガブ飲みしたら高血糖を引き起こした。インスリン療法によって改善したものの、数年前に悪化。血糖値は450mg/dlと、正常値の2倍以上に。

 もともとラーメン、ギョーザ、白米にチャーハンなどが大好物。しかし自ら研究し、「自分にはごはんやパン、麺などの糖質は不要だ」と思った藤田先生は糖質の摂取を完全にやめた。すると、みるみる血糖値が下がり、中性脂肪まで改善したのだ。

■主食は雑穀米や玄米野菜類をしっかり食べる

 現在も主食は極力少なく、また精製した穀類は基本的に食べない。そして朝、昼、夕食のメニューには野菜がたっぷりラインナップ。

「病気予防には免疫力を高めることが大切ですが、免疫力を高める食品は野菜類なんです。野菜、穀物、豆、海藻。それらが腸内細菌のエサになり、腸内細菌が増える。この腸内細菌が免疫力を高めるとともに、身体をサビつかせる活性酸素を除去してくれます。穀類も、精製していないものは腸内細菌を増やしてくれるので、雑穀米や玄米を少量食べます」

 多忙で外食が多いが、研究室の近くに一品料理を自分で選べるタイプの料理店を発見。昼食はもっぱらそこを利用し、野菜をたっぷりチョイス。

「ICカード、抗菌グッズ、電子レンジ、携帯電話、添加物、水道水、みんな活性酸素を出すんです。だから活性酸素を取り除くことが健康長寿に欠かせません。ストレスも活性酸素を増やすので、“食事は楽しく”というのも大事ですね」

 103歳の医師、日野原重明さんにならって、ステーキは週2回必ず食べる。週2回、プールで合計300メートル泳ぐのも、健康とストレス解消に役立っているという。

 次ページで、藤田先生の食事メニューを拝見します!

20150331_hujita-1

■朝食メニュー

(1)蒸し鶏と野菜のサラダ

(2)納豆汁

(3)揚げだし豆腐(味噌だれ)

サラダの野菜は、わけぎ、水菜、ザーサイ。ドレッシングはノンオイルの生姜ドレッシングを使用。納豆汁の具材は納豆、山芋の千切り、小口ねぎ、しめじ。

20150331_hujita-2

■昼食メニュー

(1)五穀米

(2)豚汁

(3)サバの塩焼き

(4)マグロのねばねば3兄弟あえ

(5)いんげんのごまあえ

ねばねば3兄弟とは、納豆、オクラ、山芋のこと。昼のメニューには主食の五穀米も。ごはんの量は少なく、軽めの茶わん一杯分をさらに半分にしたもの。

20150331_hujita-3

■夕食メニュー

(1)牛ロース肉のステーキとじゃがいも、ブロッコリー

(2)野菜サラダ

(3)全粒粉のパン

(4)ビール

この日のステーキは200グラム。ステーキは週2回、たくさんの野菜とともに食べるようにしている。夕食にはビールか、焼酎のお湯割りを1杯くらい飲む。

■〈まとめ〉藤田先生の食事3か条

一、発酵食品で腸内細菌を元気に

二、週に2回はステーキを食べる

三、野菜、果物、豆、海藻をよく食べる