■月経前のニオイは、気にしすぎも…
デリケートゾーンのニオイは、月経周期に合わせて微妙に変化する。「生理前や排卵前など、個人差はありますが、ホルモンの影響で体臭が変わるのです」(ニオイの第一人者、五味常明先生・以下同)。また、女性の嗅覚もホルモンに左右されるので、“よりニオイに敏感になる時期=自分がニオう時期”と感じる人も多いようだ。「酸化した血液はほぼニオわないので、生理の経血自体のニオイを気にする必要はまずありません」
■生理用品の使い方や下着の選び方に注意
月経前には女性ホルモンの影響で、皮脂腺が刺激され、皮脂が多く分泌されるようになる。皮脂があまりに多いと腺の出口が詰まり、皮脂腺中の脂肪酸が酸化し、ニオイが強くなる。ただしこれらは、どの女性にも起こりうる一般的なこと。
「気をつけたいのは、ナプキンによるムレ。性器周辺は汗をかきやすいので、長時間取り替えずにつけていると、雑菌が繁殖しニオイを招きます。ショーツは通気性がいいものをつけ、3時間程度でナプキンを交換し、生理中はガードルをはかず締めつけから解放させてください」
■そのニオイ、もしかして病気が隠れてる?
肉や脂っこいもの、ニンニクやニラなどのニオイの強いものを食べると、性器周辺がニオうことがある。ただし、これらは一時的なものなので、本当に気にしたいのは、おりものがニオうとき。
「おりものがいつもと違うニオイを発したら、要注意です。正常なものは甘酸っぱいニオイがし、半透明か白色で、乾くと黄色っぽくなります。何らかの異常があるときは、ニオイや色が変わり、痛みやかゆみを伴うことがあります」
下記のリストを参考に、心配な人はおりものチェックをしてみよう。
〈おりものの異常でわかる主な病気やトラブル〉
【トリコモナス膣炎】
黄色・黄緑色のおりものが出て、膿のような悪臭を伴う。外陰部にかゆみがあり。性交感染に加え、プールでも感染することがある。
【淋 病】
おりものが黄色い膿のようになり、量が多く悪臭を伴うこともある。下腹痛・排尿痛が出ることも。性交感染が主な原因。
【クラミジア】
おりものがやや増え水っぽくなるくらいで、自覚症状はほぼない。病気が進行すると下腹部痛や性交痛、月経時以外の出血など。
【尖圭コンジローマ】
おりものが増え、やや悪臭がする。外陰部に尖ったイボ状のものができ性交時に痛みが伴うことも。パートナーとの早期治療が大切。
【カンジダ膣炎】
白くてポロポロした、カッテージチーズ状のおりものが出て、外陰部に激しいかゆみを伴う。カビの一種・カンジダ菌による炎症。
【子宮の病気】
茶褐色やピンク色のおりものがある場合は、子宮内の病気の可能性が。子宮頸がん、子宮体がん、子宮頸管ポリープなども心配。
(取材・文/中尾巴 イラスト/柏屋コッコ)
〈お話を伺った先生〉
五味クリニック院長・五味常明先生 ●昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科などで形成外科学、多摩病院精神科などで精神医学を専攻。医学博士。体臭多汗研究所設立。著書に『気になる口臭・体臭・加齢臭』などがある。