質問1:幸せって何? 何を頑張れば幸せになれる?
「幸せになるには、月並みだけど自分の好きなことを見つけてがむしゃらに働くことね。私の場合、好きなことは"女になる"という特別のものだったけどね。
北海道の釧路の次男坊で幼いころからナヨナヨしていて、15歳になったときには高校を中退して家出。札幌のゲイバーにもぐり込んで、小さなアパートでひとり暮らしを始めたの。
チップ制のギャラのやりくりは大変だったけど、仕事さえしていれば何とかなるとわかってからは強くなったわね。
波瀾万丈の人生だったけど、"チャンスのしっぽ"を逃さなかったのが、よかった。ピンチのときはいつも誰かが助けてくれて、失敗のあとは決まってチャンスが来た。
58年前に家出した実家も建て替えたし、甥っ子たちは"おじちゃんだったおばちゃんは、俺たちの誇り"と言ってくれる。本当に今は幸せ。"ゲイは身を助ける"って本当ね(笑い)」(カルーセルさん)
「何かを頑張っても、幸せにはなれません。頑張らないところにいつの間にか、やって来るものだからね。幸せというのはひとりでに入ってくるもので、取りに行くものじゃない。
みんなが欲しがる多くのことに、同じことが言えます。お金だって自分からつかみに行くものじゃない。仕事をしたらついてくるもの。幸せなんて、生きていればやって来る。
そのかわり人生にはいいこともあれば悪いこともある。いいことがあったら、どうせ悪いことも来ると思っていれば万全だね」(養老孟司さん)
質問2:どうして僕はいじめられるの?
「いじめは、いじめるやつが悪いというのが大原則。そのうえでこんなふうに考えてほしい。いじめは長い人生の、ほんのわずかな時間にすぎないんだ。きみの人生はいろんな可能性が開けているんだよ。クヨクヨする必要なんて、まったくない。いじめっ子のようなバカと一生付き合うわけじゃないからね。ガマンできるならガマンして、耐えられなくなったら殴り返せばいいよ。
いじめっ子でなくても、大勢が集まるクラスには嫌いな子もいるよね。無理に仲よくする必要はないけれど、できるだけ多くの人とほがらかに過ごせたほうが人生は楽しい。敵ばかりだと思いながら毎日過ごすのは、つらいでしょ。仲よくしなくてもいいから、嫌いな子が周りにいても耐えられるようになったほうがいいね。それができないと、大人になってから大変なんだ」(鳥越俊太郎さん)
「偶然かもしれないね。状況が違えば、自分がいじめっ子になることだってある。あなただけがいじめられているわけじゃないよ。もし"自分は何もしていないのに、どうして?"と思っているなら、それは違う。人間というのは、誰でもそこにいるだけで迷惑をかけるものだから。知らぬ間に相手の気に障ることをしているかもしれない。
世の中には好き嫌いというものが必ずあるけど、あまり多くないほうがいい。特別仲よくする必要も、ケンカをする必要もないね。大切なのは、適当な距離のとり方を考えてみること。今、手が触れる距離に相手がいるなら、大声を出さなければ聞こえない距離まで離れるといい。殴り合いになるのは、2人の距離が近すぎるからだ。時々、遠くに行ったのに石を投げてくるやつもいるね(笑い)。でも、それは周りがちゃんと見ているよ」(養老さん)