質問1:どうしてママとパパはケンカするの?
「例えば"パパは青が好きだけど、ママは赤が好きなんだよ。○○くんは緑が好きだよね。みんな違うね。それぞれ好きなものとか好きな色が違うから、欲しいものが違ったときにケンカしちゃうんだよ"と答えますかね。子どもには"ケンカをしてはダメ"と言いがちですが、ケンカはしてもいいと思います。苦手な子と無理に仲よくさせる必要もないと僕は考えています。
でも"もしその子がとても楽しそうな遊びをしているのに仲間に入れてもらえなかったら、悲しい気持ちになるかもしれないね"と付け加えます。とはいえ、ケンカして仲たがいしていても、気づいたら仲よくしていることなんて子ども同士ではよくあること。そっと見守りたいですね」(てぃ先生)
「"パパとママは、もともと赤の他人だったの。でも時間がたつにつれて、本当の家族になっていくとケンカをするようになる。遠慮をしなくなるからなのよ"小学生になると、お母さんには言うけど、友達のお母さんには言わないことが出てきます。
それが遠慮。遠慮は他人である証拠なんです。本音ばかりではケンカになってしまう。とはいえ、相手の価値観に気づくために、意見をぶつけ合うケンカは必要です。例えば、遅刻すると怒る人、お金にルーズだと怒る人、嘘をつくと怒る人がいる。それぞれ自分なりの価値観があって、みんなちょっとずつ違うけど、ケンカすることでお互いを理解することもできるんです。ただし、親は賢いケンカをする。それを見た子どもは"いいケンカ"を学びます」(晴香葉子さん)
質問2:パパとママはどうしていつも怒鳴るの?
「"それはね、忙しいからなの。ママはやらなきゃいけないことがたくさんあるでしょ、洗濯とか掃除とか。ママが言うことを早くわかってほしいんだけど、静かに話してもなかなか言うことをきかないから怒鳴っちゃうのよ。ごめんね"、こう謝りながら答えるのがいいですね。子どもは、自分が怒鳴られる理由を知っています。ひとつは、"しなければいけないことをしていないとき"。
宿題をやらなきゃいけないのにテレビを見てしまっているときなど、自分に非がある場合。もうひとつは、お母さんがイライラしているとき。それを子どもはわかっているんです。いっそ、うまく子どもを巻き込んでしまうのも手ですね。"ちゃんと聞いてくれれば怒鳴らないからママに協力してね"と。あるご家庭では、子どもが好きなアニメのキャラクターの声色をまねて、小言を言うようにしたら、素直に従ってくれたそうですよ(笑い)」(晴香さん)
質問3:どうして○○ちゃんの家はお金持ちなのに、うちは貧乏なの?
「お金は仕事をして稼ぐもの。仕事が違うと給料も違うから、お金持ちの人も、貧乏な人もいるんだよ。人生でいちばん大切なことはお金の有無でなくて、たくさんある仕事のなかから自分にピッタリのものを見つけること。だから給料が少なくて貧乏でも、仕事にやりがいを持てれば、それは大きな幸せなんだ……。
というように、子どもたちは想像できる話のほうが理解しやすいと思うので、僕なら自分の父の話をします。父は"町のために貢献したい""町の人を助けたい"という気持ちが強くて、消防士になりました。ただ、給料がめちゃくちゃ安いんです。それでも生活しなきゃならなくて、でもやりがいのある仕事を変えたくない……と、大工のアルバイトをしながら消防士の職務を全うした。お金持ちかどうかは、そんなに気にすることねえんだよ、って教えてあげて!」(ダニエル・カールさん)
「"それぞれやっている仕事が違うから。お父さんはやりたい仕事に就いてそこで感謝されてお金をもらう。お父さんが外で頑張っているおかげで、みんなこの家で暮らしていける。仕事ってお金だけじゃない。みんながいちばん儲かる仕事を好んで選ぶとは限りません。お父さんがやりたい仕事で頑張って、いただいたお金で暮らしているのだから、鉛筆でも何でも粗末にしちゃいけない。ものを粗末にすれば、お父さんを粗末にしていることになってしまうの"と伝えましょう。
最近、ニートや引きこもりが問題にされますが、アルバイトなどの働いた経験がないのも原因のひとつ。私は、子どもに"お小遣いを貯めなさい"と言います。お風呂掃除を毎日やったら月1000円、洗濯物をたたんだら1000円。そんなお駄賃を貯めて自分で欲しいものを買えるようにさせたいからなんです。お金は自分が役割を果たした時にもらえるもの。報酬と同時に"ありがとう"と感謝される喜びも学んでほしいですね」(晴香さん)
「私も昔は貧乏だったわ。家出してひとり暮らしをしてたときも貧しかった。でも、不思議とそれはそれで楽しかったのを覚えてる。どうしたらお金持ちになれるかって? 私はとにかく一生懸命働いただけ。
40年前に今住んでいる家を買ったんだけど、そのときまでいっさい貯金をしたことがなかったの。でも、現金が必要だったから、とにかく必死で働いて1年間で7000万円貯めたのよ。
お金はなくても不幸とは限らないけど、お金はないよりもあったほうがいい。今でも、毎年パリに買い物に行くために必要なお金を稼いでいる。そして思いっきり1年分の洋服を買うの。もう、そのために生きているようなものよ。人間、目的があれば必死になれるのよね」(カルーセル麻紀さん)
イラスト/本山浩子、てい先生イラスト/きくちもも