いくつになっても美しく健康でいたい─。でも更年期になると身体が不調を訴えたり、病気になったり、何をやっても体重が落ちなくなる。かつてバレーボールの全日本選手でパリコレモデルだった中村利恵さんも、そのひとり。しかし、中村さんは52歳の今がいちばん身体のコンディションがいいと言う。はたして彼女が実証するビューティー健康法とは?
【写真】美魔女としてテレビにも出演。笑顔が素敵な中村さん

「食べすぎることで私たちの身体は傷ついているのです。それをリセットするために、ファスティングはオススメの手段なんです」

 現代社会で“食の改善”をテーマに研究や講演活動を行っている『からだビューティ研究所』で所長を務めている中村利恵さんは、これまでさまざまなキャリアを積んだ中で感じたことがあるという。

■健康を失うと人生が終わる

「元全日本のバレーボール選手時代は細いほうでしたが、スポーツ選手とファッションモデルって細さがまったく違うんです。パリコレなどのモデル時代は“やせろ”といつも言われて、ムチャなダイエットをたくさんしました。ある日、階段を上ったら視界がよどんできて倒れそうになったり、ヘアメークさんに“変なダイエットしているでしょう?”って、指摘されたこともありました。体形が細くても健康じゃなきゃ意味がないんです」

 そんな中村さんが実践しているのが、酵素ファスティングダイエットだ。

「42歳で三叉神経が通っているところに大きな腫瘍が見つかり、全摘出したのですが、右耳がまったく聞こえなくなりました。その翌々年には子宮頸がんにもなって、初期だったので抗がん剤も放射線も使わず切除できたのですが、“健康を失うと人生が終わる”ということを心底実感しました。

 それらの病気以降は自炊もしたり、体調に気を遣っていたのですが、更年期を迎えてから、体調が激変。健康診断のたびに増える体重は、今後、一生減ることはないんだろうなってあきらめていたんです」

 40代後半のエステティシャン時代に、仕事のストレスもあって食べることをやめられなかったという中村さん。

「この身長でエステの施術をしていたこともあり、背筋を伸ばせないくらい腰が痛い状態になってしまったんです。体力的に限界を感じていたときに、酵素ドリンクをもらうことがあって、以前から気になっていた酵素ファスティングに挑戦してみたら、空腹感や食べないことのストレスを感じることなく、ラクラク成功。翌日の目覚めはいいし、スッキリ感もあり、次は3日間実践してみたら、体重が3キロ、ストンと落ち、食習慣まで変えられたんです」

■酵素ファスティングのメリットは?

 中村さんが最終手段として取り組んだファスティングとは、食事を『植物エキス発酵飲料』、いわゆる『酵素ドリンク』に置き換える方法。“不食”や“デトックス”など、最近耳にする機会が増えたが、酵素でファスティングすることにメリットがあるという。

「水だけのファスティングは、猛烈な飢餓感と身体の変化も強くなりがちで、挫折してしまう人が多いんです。酵素をとりながらのファスティングは、代謝の効率がよく、緩やかに身体が変化していくので成功率も高くなります」

 今や女性の死因でいちばん多いがんの中でも、1位は大腸がん。便秘も腸に便が長くとどまることで悪玉菌が増え腸内環境を悪化させる。

「定期的なファスティングは体重の減少だけでなく、内臓を休め、腸内環境の改善にも役立ちます」

 ただし、腸内環境は人によって違うため、みんなが同じ結果を得られるわけではない。ファスティング期間も人それぞれ。自分の身体と見つめ合う時間を持ち、ファスティングをきっかけに生活習慣を改め、その延長線上に健康があるということ。

「海外でファスティングは保険が効く治療として確立されているところも多く、ドイツでは“メスのいらない外科手術”と言われています。ロシアの断食病院では、リウマチ、アトピー、糖尿病などで入院した患者の3分の2は症状が消えたそうです」

 こうしたファスティングは、これから日本でも健康法の常識になっていくかもしれない。病気だけでなく、健康な人がより健康になるための方法だとも中村さんは言う。

「私たちの世代ですと、更年期で代謝も落ち、なかなかやせにくくなっているんですよね。でも体重が減れば、関節への負担も減り、女性特有の変形性ひざ関節症や変形性股関節症に発展する“ロコモティブシンドローム”の予防にもなります。病気を遠ざける身体をつくり、健康寿命を延ばすことが重要なんです」

■ファスティングのコツは回復食にある

「ファスティング後の身体は飢餓状態で、満腹ホルモンが出にくくなっており、元に戻るまで約1か月かかると言われています。食べたい欲求を我慢していたストレスも加わると、リバウンドを起こします。ですから、回復食がキーポイント。

 おかゆから始めて、野菜などを組み合わせ、徐々に通常食に戻していくのが理想です。回復食の期間はファスティングの期間と同じ長さを目安にしてみてください。そして、体調がまた悪くなったり、食べすぎが続いてしまったらファスティングをするという感じです」

 身体を休めるのにはよさそうだけど、食べないと頭が働かないのでは……?

「それは単なる思い込みです。たしかに血糖値が下がってボーッとすることは一時的にありますが、心配いりません。今まで消化にばかり使われていたエネルギーが代謝に使われることによって、ファスティング3日目以降から逆に冴えてきますよ」

 さらに、うれしい効果も。

「肌は“腸の鏡”と言われているくらいなので、すぐに美肌効果を実感しますよ。私がバレー選手時代はニキビも多く、毛穴もかなり開いていたんですが、今は1日中、化粧直しをしなくても平気なくらい、肌が変わりましたね。52歳の今が一番キレイで健康です」

■まずは調味料を見直して

 ここまで聞くと今すぐにでも試してみたいが、ファスティングに使う酵素ドリンクはどれを買っていいのかわからない。選び方はあるのか。

「安い商品もありますが、希釈せず100%自然発酵で作られている植物エキスで、発酵熟成がしっかり行われているかなどを考慮すると、安い値段では作れないはずです。商品表示を見て、例えば、ブドウ糖果糖液糖などの添加物が入っていれば、せっかくのファスティングでも効果が得にくくなります」

 中村さんは東京・恵比寿で『KO-SO CAFE BIORISE』のプロデュースもしている。こうしたカフェや自宅で酵素たっぷりの食事をとることも、健康を目指すなら心がけてほしいとも。

「日本人の腸内環境は発酵食品によって健康が維持できる腸内細菌が多いそうです。ところが今は、食文化の基礎である味噌やしょうゆなどの調味料にも添加物が多くなっています。まずは調味料を見直し、身体にいい植物性の発酵食品を積極的にとることから始めてみてください」

【写真】『KO-SO CAFE BIORISE』の店内。「カラダの中からキレイに」がコンセプト。ランチの時間は女性客でいっぱいだそう