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 いまや2人に1人がかかり、3人に1人が亡くなる「がん時代」に突入。身近な病気であるわりに、デマや噂に惑わされないで本当に役立つ情報を見つけだすのは難しい。そこで、がんに詳しいスペシャリストたちに話を伺った。

・しょっぱいもの好きは胃がんになる?

「なりやすいのは確かです。塩分が多い食生活を送っていると、胃がんのリスクが高まります」(秋津医院院長・秋津壽男先生)

 それを裏づけるデータがある。国立がん研究センターの調査によれば、胃がんになる人は男女ともに日本海側で多く、男性だけに限れば、胃がんの死亡率1位は秋田県だ。

「“しょっつる(秋田名物の魚醤)”をよく使うからではないかといわれるほど塩分濃度の高い料理が多い土地柄。塩分の多いものを食べると胃の粘膜の細胞が傷つきます。ある程度までは損傷しても修復しますが、それを繰り返しているうちに、やがて、がん細胞が生まれてしまうのです」

 胃酸という強酸にも耐えている胃の粘膜が、塩分に弱いとは。

「なめくじだって塩をかけると溶けるでしょう。粘膜に対して、塩分は相当な威力を発揮するのです」(秋津先生)

・海藻の食べすぎで甲状腺がんになる?

 国立がん研究センターの報告によると、閉経後の女性で、海藻の摂取頻度が多いほど甲状腺がんになりやすいという研究結果が。

「海藻ばかり毎日、大量に食べなければ、それほど心配することはありません。甲状腺がんは女性ホルモンの『エストロゲン』が関係していると言われています。海藻に含まれるヨウ素も甲状腺がんを引き起こす恐れがあります。閉経に伴い、エストロゲンの分泌量が急減し、海藻類による甲状腺がんリスクの上昇が観察された可能性があります」(医学博士・植田美津恵先生)

 がんになるリスクより、「海藻の健康効果のほうが上回る」と話すのは秋津先生だ。

「海藻にはミネラルや食物繊維などの栄養素がいっぱい。バセドー病など甲状腺疾患のある人は控えたほうがいいでしょうが、そうでなければ健康効果のほうが大きいと思います。閉経前の若い年代には、ヨウ素の働きで甲状腺がんを防ぐという報告もありますよ」