「風邪をひいたらショウガの入ったものを」「のどが痛いときは、ネギを首に巻く」など、ちょっとした体調不良のときに、身近な食材を使った対処法は多い。 実は、“おばあちゃんの知恵袋”として伝えられてきたこれらの方法は、単なるおまじないや迷信ではなく、食材に含まれる成分を利用した、れっきとした民間療法。
日本人は昔から、暮らしの中で野菜や果物、野草の薬効を知り、自然のパワーを健康に役立てる方法を編み出してきた。
先人の知恵が生んだそれらの手当ては、いわば「知恵ぐすり」。西洋医学が発達した現代では忘れられがちな知恵ぐすりには、日々の食生活の見直しや、自分の身体に向き合うヒントが詰まっている。
今回は、台所にある食材でできる簡単な知恵ぐすりを中心に紹介。野菜や果物のパワーを知って、身体に備わった治癒力を高め、健やかな暮らしにつなげよう。
旬の野菜や果物には、その季節にわずらいやすい不調を改善する成分が備わっているもの。大根、リンゴ、みかんなど、どの家庭にもあって使いやすい食材のパワーを生かした知恵ぐすりが、冬の健康を支えてくれる。
■長ネギの鼻湿布
風邪による鼻づまりに。ネギのにおいのもとで鼻スッキリ。アリシンが炎症をやわらげ、呼吸を楽にしてくれる。
つくり方は、①長ネギの白い部分を3cmほどに切り、さらに縦半分に。②平らなほうを鼻の穴にあて、深呼吸を繰り返すと、鼻が通る。寝苦しいときは、鼻柱にネギの断面が当たるように絆創膏で固定しよう。
■ネギ味噌湯
アリシンが鼻の奥の炎症を鎮め、味噌の乳酸菌で身体の抵抗力アップ。春になる前から食べ続けて、花粉症対策に。
つくり方は、①ネギの白い部分3cmをみじん切りにする。②ショウガ1片をすりおろし、こしてしぼり汁を作る。③お椀に、①、②、味噌小さじ1、砂糖小さじ1/4、熱湯200mlを入れて混ぜ合わせる。
■大根飴
大根に含まれるイソチオシアネートが炎症を鎮め、ハチミツが雑菌を減らしてくれる。
つくり方は、①大根150gを1cm角のさいの目に切る。②瓶など密閉できる容器に①を入れ、ハチミツをひたひたになるまで注ぐ。③ときどきかき混ぜながら半日ほど置き、大根の水分がしみ出してきたら完成。
うわずみを大さじ1すくい、そのままか水で割って飲む。冷蔵庫で1週間ほど保存ができる。
■大根おろし湯
発熱が続くと消耗しがちなビタミンCを、大根おろしで摂取。刺激が強いので子どもや妊婦にはNG。
つくり方は、①皮ごとすりおろした大根おろし50ml、ショウガのすりおろし小さじ1、しょうゆ大さじ1~2をマグカップに入れてよく混ぜる。②熱い番茶180mlを①に注いで飲む。