「きれいな高音が特徴だったのに、1997 年のソロコンサートツアーではハスキーボイスになっていました。ロック調な曲でシャウトすることが多く、のどを酷使したようです。1999 年からは、明らかな絶不調。ASKA特有の粘りのある声がガラガラになり、ファルセットもうまく出なくなったんです」(音楽関係者)
声の不調は自らの存在意義を脅かす。このころから歌詞に変化が表れて、薬物使用を思わせるフレーズが登場するようになっていたのだ。
《かるく麻酔を打たれたくらいの速さで僕の夢は深い場所を抜けて行く》(『ID』1997 年)
《今夜もクスリを射ち込んだ 若者がいる》(『Kicks street』1998 年)
ASKAは以前、歌詞と自分の精神状態の関係について雑誌のインタビューでこう語っていた。
《精神状態でいえば、誰だっていつも、どこかが歪ではないですか。(略)歪なポイントが歌になりやすかったりしますね。(略)よく“歌は自分の子供っていう人がいるけど、僕にとって“歌は分身”なので》
「完璧主義者のASKAですから、苦悩は想像を絶するものだったでしょう。プレッシャーから逃れるため、クスリに走ってしまったのかもしれません」(前出・音楽関係者)