「これまで成田屋といえば、團十郎さんと海老蔵の二枚看板が売りでした。それが今や“顔”となる役者は海老蔵ひとり。新蔵らベテランはいるものの、次世代を担う若手は不足しています。興行時には獅童ら他門と組むことが多いんです」(舞台関係者)
確かにライバルとされる市川猿之助の澤瀉屋には右近、中車(香川照之)らが顔をそろえる。中村勘三郎という偉大な役者を失った中村屋だが、勘九郎・七之助兄弟が亡き父の穴を埋めている。特に一門で公演をこなす澤瀉屋の活躍ぶりは、目を見張るものがある。そんな危機感からか、
「焦りもあったのかもしれません。そこに長身でイケメン、実績のある道行が“フリー”になった。当の道行も多方面での活動を望んでいた。しかも’07 年に海老蔵が自宅の風呂場で転倒してケガをしたとき、代役を務めたのが彼だった。いわば“借り”もあったワケですね。幹部待遇という特例の弟子入りだったそうです」(前出・舞台関係者)
前出の喜熨斗さんは、海老蔵なりの決心があるとも。
「かなり覚悟して、道行さんともお付き合いを始めたのだと思います。彼の力量というものを買って、人間性についても許せる範囲というか、仲間としての存在価値を見いだしたというか。それを感じたからこそ、ファミリーを守っていく海老蔵さんが、新しく道行さんを迎えて一緒にやろうということになったのではないでしょうか」
勧玄といつか二枚看板で舞台を踏む日まで、海老蔵としては掟を破ってでも、宗家を守ろうとしているのかもしれない。が、さらなる“因縁”も生み出してしまったとも。
「竹三郎さんは女形で有名な役者さんで、同じく女形を得意とする猿之助とは親子のように仲がよい。成田屋に道行が入ったことで今後、互いに顔を合わせることもあるでしょう。新たな火種にならなければいいのですが」(前出・歌舞伎関係者)