4月15日にこの世を去った愛川欽也さん。’00 年にはベストカップル賞を受賞するなど、妻・うつみ宮土理とは芸能界きってのオシドリ夫婦として知られていた。
思いが通じ合うふたりは、死生観にも通じるものがあった。 『週刊女性』の連載『生きるって、死ぬって』に、病魔が忍び寄る前の’14 年10月に登場した愛川さんはこう語っていた。
《僕は今まで、どんなにつらいことに直面しても、“死にたい”と思ったことはありません。人間はまず、いかに生きるかということを考えるべきです。死というのは放っておいても、やってくる。僕はその日まで、やっぱり生きることを考えていると思うんです。芝居をつくり、映画をつくり、今もやりたいことはずっと続いていて、終わりがありません。でも、どこかで終わる。僕にとって死は、どこかのタイミングでくる“終わり”という感じです。死後の世界は信じません。死んだ瞬間に終わり。幽霊とか天国とか、あれはウソです》
全力で生きることに集中し、死を恐れない。天国を信じないのは、生きることの大切さを知っているゆえだ。
《自然死に関していえば、人間が死ぬのも、虫が死ぬのも大した違いはないと思っています。だから、葬式なんてやってもしょうがない。でも、僕が死んだらかみさんは葬式をしないわけにはいかないんじゃないでしょうか。死んじゃった俺は気づかないから仕方ないですね(笑い)。だって、死後の世界はないんだから》
この考え方は夫婦で共通のものだった。同じ連載でうつみはこう語っていた。
《死ぬなんて考えたことないから夫婦で葬式やお墓の話なんてすることもない。私たち自分たちのお墓もないんですよ。ご先祖様のお墓に一緒に入ろうと考えたことはないんです。永代供養墓か庭にでもパッとまいてくれたらいい。そのかわり、今生きているうちに一生懸命守ろうとしているのは夫の愛川のこと。ご先祖様には、一番に愛川欽也の健康を祈ります》
最愛の人への思いは、愛川さんも同じだった。
《僕は毎日カミさんの顔を見るたびに、“ああこの人でちょうどよかったな”と思っています》
と前出の雑誌インタビューで答えている。うつみは『週刊女性』の取材で夫への尊敬の思いを次のようにも語っていた。
《仕事の手を抜きませんし、ものすごい努力をしている。すごい人、すばらしい人と思います。自分の命をもしもあげられるなら、愛川さんにはあげたい。今お医者さんに命差し出してくださいと言われたら、平気で迷うことなくあげますね。愛川さんだったら、全部あげてもいい》