今回で4回目となった世界国別対抗戦。’12 年の第2回大会では、キャプテンを務めた高橋大輔が、SPで当時の世界歴代最高得点をマーク。世界に誇る華麗なステップで初優勝をもたらした。
その高橋が引退した今、もちろんエースは、4回転ジャンプの申し子・羽生結弦だ。
今大会では、4回転ジャンプを成功させたSPで、今季自己最高点をマーク。フリーでも1位となり、日本銅メダルの原動力となったのだ。ただ、開幕前の出場会見では、チラッと不安も口にしていたという。
「国別対抗戦は、個人戦とはまったく趣が異なります。その象徴が得点発表でしょう。通常、キス&クライで行われますが、団体戦では仲間と手をつないだり、肩を組んで発表の瞬間を待つ。仲間の応援があり、試合前の時間配分も違う大会のため、羽生は“試合のときは1人で閉じこもるタイプなので、うまく集中できるか”と、心配そうでした。“過去の試合の映像で研究したい”と、イメージ・トレーニングをして臨んだようです」(スポーツ紙記者)
言ってみれば、チーム一丸で挑むのが国別対抗戦。当然、いつもと違ったプレッシャーが羽生を襲っていたという。
「ゆづクンは“大輔先輩と比べられたくないなあ”と、弱音を吐くこともあったみたい。年齢差もあるが、大ちゃんは女子選手の肩にそっと手を添えたりして励ますタイプだが、彼には難しいでしょうね」(元スケート連盟関係者)
羽生自身も10代のころは高橋にアドバイスをもらい、励まされ、よき先輩・後輩だった。だが、ここ数年は微妙な関係になっていたという。
「ふたりの知らないところで、両者のファンが火花を散らすようになってしまったからです。結果、事あるごとに高橋ファンが“羽生攻撃”を起こす。今回の羽生に対しても、“エースとして大ちゃんのようにチームをまとめられるの?”なんて声が聞かれました」(全国紙運動部デスク)
常に羽生には、高橋の影がつきまとうようになってしまった。それは些細な出来事がきっかけだったという。
「フィギュアは得点に芸術点があるように、美しさを競うスポーツ。しかし、バンクーバー五輪から“4回転論争”が本格的に巻き起こりました。優勝した米国のライサチェクが4回転を回避したことに、準優勝だったロシアのプルシェンコが噛みついた。それを2種類の4回転を武器にする羽生と、誰もまねできない華麗なステップワークを得意とする高橋にもあてはめ、ファン同士がエスカレートしてしまった」(スポーツライター)
ほかのスポーツであれば、剛と柔のようなもので、優劣を問う話ではない。だが、“ジャンプ優先”という流れは、ここ数年、意図的に作られたものだという。
「テレビ局にしても、見た目の豪快なジャンプばかりをクローズアップしていた感は否めません。連盟がふたりのスケートを“比較するものではない”というインフォメーションを怠ったのが、不幸の始まりだと思いますよ」(前出・ライター)