国別対抗戦を最後に、今シーズンが閉幕したフィギュア界。多くの主力選手がこの1年を休養に充てる中、羽生結弦は愚直なまでにスケートに打ち込んだ。そこには、秘められた決意があった。
そこで、関係者に匿名を条件に座談会でオフレコ話を語ってもらった。
ライター「ゆづクン、NHK杯は演技構成の難易度を下げて総合4位。ギリギリGPファイナルの切符を手にし、本番で2連覇達成。SPの後に“あんなにきれいな4回転サルコウは初めて”と興奮ぎみに話していましたね」
記者「どうもその後の全日本選手権では、今季で引退したライバルの町田樹に負けたくなかったようですね。その一念で今季を戦い続けてきた節も見られる」
関係者「“氷上の哲学者”と呼ばれ、“学生時代はファンレターやプレゼントを受け取るべきではない”と宣言していた町田とは、どうも肌が合わなかったと聞いています。それだけに、日本王者の座を渡したくないという気持ちがあったのかも(苦笑い)」
ライター「それもまた、すごいね。だって、そのときにはケガの痛みだけでなく、尿膜管遺残症からの腹痛もともなっていたわけですから」
関係者「ただ、全日本選手権3連覇した本人より、毎日新聞社が痛かった(笑い)。というのも、正月恒例の『毎日スポーツ人賞』表彰式が、前代未聞の延期になりました」
記者「大きな表彰式で何が大変かというと、受賞者のスケジュール調整です。当然、大賞の羽生側の予定に合わせて決めるだけに、ほかの受賞者から不満が出ても仕方がない。変更はまれな出来事であり、それぐらい羽生に出席してもらいたかったんでしょう」
ライター「昨年の大賞が大リーガーの田中将大。今年も帝国ホテルで盛大に行う予定だったが、場所まで変更しながら、結局は表彰式に羽生の姿はなかった」
記者「手術後は2週間の入院、2週間の安静の予定だったようですが、世界選手権をにらみ始動を早めた結果、今度は右足首を捻挫してしまう。そのため仕切り直しの表彰式も辞退したようですね」
関係者「その後もマスコミ側は、羽生のケガの具合で混乱して、一部では誤報まで流れてしまいましたね」
記者「配信した通信社が直接、本人ではなく、ブライアン・オーサー側に確認を取っていたようです。そもそも、ほかの競技と同じように、連盟側がしっかりと羽生サイドとコミュニケーションをとっていれば、間違いは起こらなかったことですよ」
ライター「ラストの国別対抗戦出場にしても、連盟の小林芳子強化部長が羽生の出場を発表したのは1週間ほど前のことでしたよね」
関係者「安藤美姫や浅田真央の登場のころから、すべてを選手に任せっぱなしで、状況を把握できていない。2歳からぜんそくの持病を抱える羽生の体調管理にしても、ジュニア時代から母親の不屈の献身があってこそでしょう」
記者「そのため、練習環境もほかのスポーツより劣っています。例えば、動画撮影によるフォーム確認にしても、コーチがスマホで撮影してチェックする程度。サッカーやバレーボールなどのように、連盟側が主導して大学などの専門家グループと連携し、過去の試合画像と比較するなどの高度な解析は行っていない」
ライター「’18 年の韓国・平昌での冬季五輪に向け、カナダやロシア、米国が打倒・羽生包囲網を形成するだけに、しっかりと羽生をバックアップしてほしいものです」