東方神起、少女時代、SHINee、EXOなどトップアイドルを輩出してきた韓国の大手芸能事務所、SMエンターテインメント(以下SM)がこの夏、デビュー前の練習生による公演をスタートさせ、話題を呼んでいます。「SM ROOKIES SHOW」と名付けられたこの公演に出演したのは、上は21歳から下は13歳までの13人の男性メンバー。ソウル市江南区の「SMTOWN COEX ARTIUM」の中にあるSM専用シアターで、第一回目のプレビュー公演が8月15日に行われました。

 SMはこれまで、練習生の詳細や、デビューをする時も直前までメンバー構成などを明らかにせず、話題性をあおる手法をとっていました。ところが1年程前から、SM ROOKIES(以下ルーキーズ)と名付けた練習生を公開する方法にシフトチェンジ。今回のような練習生による定期公演はSMにとっても初の試みで、日本のジャニーズJr.のシステムやAKBの定期公演に倣ったものだと言われています。

 公演は昼と夜の部が行われ、筆者は15時からの昼の部に参加。シアターは1階席と2階席を合わせて約740席で、観客の入りは7~8割程度とまずまず。デビュー前とはいえ、SMの合同ライブ「SMTOWN LIVE」などへの出演を通じて、ティーンを中心にすでにコアなファンを獲得しており、終始、絶叫が響き渡る公演となりました。

注目したいのが日本人メンバー、ユウタの存在

 ここでメンバーを簡単なプロフィールとともに紹介。

※左から、背番号/名前/生年月日/出身地/血液型/特技。なお「背番号」は、本公演で公開された名前の通りの背番号で、今後、グッズなどでも展開されるものと思われます。

【01】テヨン
 1995月7月1日/韓国・ソウル/O型/ラップ
【02】ジョニー
​ 1995月2月9日/アメリカ・シカゴ/B型/ダンス、ピアノ、英語&韓国語のバイリンガル
【03】ハンソル
​ 1994月11月21日/韓国・釜山/AB型/ダンス
【04】ジェヒョン
​ 1997月2月14日/韓国・ソウル/A型/ラップ、ピアノ
【05】ドヨン
​ 1996月2月1日/韓国・ソウル/B型/フルート
【06】ユウタ
​ 1995月10月26日/日本・大阪/A型/ダンス、サッカー、韓国語
【07】テン
​ 1996月2月27日/タイ・バンコク/A型/ダンス、ギター、タイ語&英語のバイリンガル
【08】テイル
​ 1994月6月14日/韓国・京畿道
【10】マーク
​ 1999年8月2日/アメリカNY生まれのカナダ育ち/A型/ラップ、ギター、韓国語&英語のバイリンガル
【11】ドンヒョク
​ 2000年6月6日/韓国・済州島/AB型/ダンス
【12】ジェノ
​ 2000年4月23日/韓国・ソウル/A型/演技
【13】ジェミン
​ 2000年8月13日/韓国・ソウル/AB型/ピアノ
【14】ジソン
​ 2002年2月5日/韓国・ソウル/O型/ダンス、演技

公演ポスター。 左側上から:ジソン、ジョニー、テイル、ジェミン、ドンヒョク 中央上から:テン、テヨン、ジェヒョン、ユウタ 右側上から:マーク、ドヨン、ハンソル、ジェノ
公演ポスター。左側上から:ジソン、ジョニー、テイル、ジェミン、ドンヒョク 中央上から:テン、テヨン、ジェヒョン、ユウタ 右側上から:マーク、ドヨン、ハンソル、ジェノ

 注目したいのが日本人メンバー、ユウタの存在。大阪出身で本名は中本悠太君。2012年にSMのグローバルオーディションに合格し、練習生になったという彼。今年7月からはトークバラエティ『アブノーマル会談』に出演し、流ちょうな韓国語でトークスキルを披露し、話題を集めています。韓国で活躍する日本人アイドルと言えば、アミューズコリアが手掛けるCROSS GENEのタクヤなどがいますが、SMでは初の試み。彼の存在が及ぼすインパクトは小さくないはずで、今後、ぜひチェックしていきたいところです。

 ちなみに、背番号【09】が抜けているのは「隠し玉メンバーがいるため」というのがもっぱらの説です。実は【08】のテイルも、以前から一部ファンの間では知られている存在でしたが、公式HPのメンバー紹介欄には写真もプロフィールも載っていない状況で、プレビュー公演前までは存在がひた隠しにされていました。話題作りの戦法だと思うのですが、【09】の存在が気になるところです……。

 次は、気になる公演の内容をレポートします。

神曲パフォーマンスからポスター手渡しまで大満足のプレビュー公演

客層は韓国の女子中高生が中心だったが、日本や中国からのファンの姿も
客層は韓国の女子中高生が中心だったが、日本や中国からのファンの姿も

 ランニングタイムは1時間45分ほど。公式的な名称はまだありませんがテイルからジェヒョンまでの年上チーム(8人)と、マークからジソンまでの年下チーム(5人)という2チーム制になっており、年上チームのステージを中心にしつつ、数人のユニットによる歌、ダンス、ラップの披露から13人全員でのパフォーマンスまで、テンポよくつないで見せてくれました。パフォーマンスをしながら1階客席に降りてくる演出も複数回あり、楽しめました。

 楽曲は『BASSBOT』などルーキーズのオリジナルものから、洋楽のカバー、そして東方神起、SHINee、EXOといった事務所先輩のカバーまで幅広いチョイス。また、トークのコーナーでは、脳内メーカーもどきを使った自己紹介のほか、ファン数名をステージに上げるイベントもあり、コアなファンでも初見のファンでも楽しめる内容でした。

※『BASSBOT』動画URL
https://www.youtube.com/watch?v=JHPIG1DgvtU

 ここで年上チームの印象的だったパフォーマンスをいくつかご紹介。歌では、テイル、ドヨン、ジェヒョンのボーカル担当のバラードが秀逸でした。その中でも、特に印象的だったのが、透明感のある歌声が特徴のテイル。難しい高音パートも難なくこなしており、今後、彼の声はルーキーズの看板的な存在になるのでは、と思いました。

 ルーキーズのセンター的な存在のテヨンは、端正なルックスとは裏腹にゴリゴリとした男っぽいラップを聞かせていて、そのギャップにドキッとしました。

 ダンスで目立っていたのがテン。身長171センチと小柄ながら、抜群のバランス感覚で緩急のあるダイナミックな踊りを見せ、一際輝いていました。踊りのタイプはちょっと違いますが、個人的にはSHINeeのテミンと似ている雰囲気があると思いました。

 また、ハンソルとジョニーはスタイルのよさを活かして雰囲気のあるダンスを見せていましたし、仲良しコンビと知られるドヨンとジェヒョンは歌だけでなく、MC担当としても大活躍。ユウタもキレのあるダンスを見せていたほか、トークコーナーでは大阪出身らしい(?)ノリのよさを見せるなど、8人それぞれが高いスキルと魅力を発揮していました。

 また、圧巻だったのがプログラム最後の曲として13人全員で披露した新曲「SWITCH」。軽快なエレクトロダンスチューンなのですが、ティーンから青年期へとうつろう彼らだからこそ表現できる、キューンとくる甘酸っぱいニュアンスが絶妙! 躍動的なダンスも秀逸でした。SMのA&R(楽曲制作チーム)が選りすぐった楽曲なんだろうなぁというのがわかる神曲で、客席もこの日一番の大興奮状態でした。音源も、シアターで公開されたMVもまだ一般公開されていないので、ここで紹介できないのが残念なのですが、いずれ大々的に世に出て、世間をアッと言わせるのではと予感しています。

 プレビュー公演ということもあってか、帰りの出口では、来場者全員にメンバーたちが手渡しでポスターをプレゼントしてくれるというサプライズもあり(そのうち100枚は直筆サイン入り!)、参加した誰もが大満足した公演だったのではと思います。

 8月29日の第二回目のプレビュー公演を経て、9月19日にも公演が予定されている「SM ROOKIES SHOW」(以降の公演日については8月28日現在未発表)。いつ、何人体制でデビューをするのかは神とSMの創始者、イ・スマン会長しかわかりませんが(笑い)、近い将来メジャーデビューを飾り、東方神起らSMの先輩アーティストの後を継ぐスターとなるのは明らか。デビュー前に至近距離で彼らのパフォーマンスを観ることができる貴重な機会なので、ソウルに遊びに行った際は、ぜひシアターに立ち寄ってみてください。

<INFORMATION>
全席指定:33000ウォン(約3400円)。公演の詳細や、チケットの販売については韓国のプレイガイド「yes24.com」(韓国語)
SM ROOKIES公式HP(英語・韓国語)

取材・文/古林由香
『週刊女性』の元編集者。現在は韓流専門記者として取材活動を行っている。2015年4月から韓国・ソウルに留学中。