【好評連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】アイドルグループのメンバーであった17歳の女性が、異性との交際を禁じた規約に違反したとして、東京地裁は18日、65万円をマネジメント会社に支払うよう女性に対し命じた。女性は2013年3月に、交際禁止を定めた規約を含む契約を結び、6人グループとして7月にデビュー。しかし、男性ファンに誘われホテルに行ったことが発覚。グループは10月に解散した。今回の判決は「男性ファンの支持を得るため、交際禁止の条項が必要だった」と、マネジメント会社の主張を受け入れる形となったが、果たして、交際発覚はアイドルのイメージを本当に悪化させるのであろうか。フィフィは、今回のケースが前例となってしまうことで、今後アイドルたちが被るであろう危険性についても指摘する。
恋愛する権利を奪うことは、人権侵害
アイドルの恋愛禁止問題。日本では、アイドルの恋愛が発覚すると「アイドルはイメージを売りにしていることを、彼女たち自身もわかってやっているわけだから、守らなかった本人にも問題がある」と、よく言われがち。だけど、こうした考え方は、人権問題に発展する可能性もあるんです。
たとえ保護者が同席していたとしても、当時15歳の女の子が事務所に入るとき、恋愛禁止の契約を結ばされる。このこと自体、異常なことですよ。今後、その女の子は成長をしていく過程において、恋愛する可能性だってあるにも関わらず、あらかじめ“恋愛の権利”を奪ってしまうわけですから。
私自身、事務所と契約を交わしている身ですが、人権を侵害するような規約はありません。無断で仕事を休んだり、契約期間中に勝手に辞めたりするとき等には、契約書の内容が響いてくることはありますけど。だから、今回のような規約が契約書にあった場合には、疑わなければならないですよね。実際、こういった判決が下されてしまった以上、今後、意図的に事務所がアイドルたちを追い込み、お金を巻き上げる可能性すらあるわけです。
SNSの浸透で、“イメージ商売”は限界を迎えている
そもそも、世間の期待に応えたアイドル像を事務所が作り上げていくという手法自体、日本特有の文化だよね。
ひと昔前のアイドルがまさにそれ。アイドルはトイレにも行かないし、好きな食べ物はだいたいパフェで、もちろん恋愛なんかしません、という現実離れしたアイドル像を作り上げることで売り出す、“イメージ商売”がメインでした。同時にこれは、そうしたアイドル像を求めるファンが一定数いたからこそ成り立っていたビジネスモデルであって、SNSが生活に浸透した昨今においては、徐々に限界を迎えつつあります。
アイドル自らが発信し、ファンたちともコミュニケーションをとったりすることで、昔のようにヴェールに包まれた雲の上の存在ではなくなった以上、彼女たちに求められるものも変化していくのではないでしょうか。
海外に目を向けると、ブリトニー・スピアーズにしろ、クリスティーナ・アギレラにしろ、彼女たちはスキャンダルを逆手に取って、自分の売りにしていますよ。むしろ、騒がれなくなったら終わりだということをわかっているから。
こうしたなかにおいて、いまだにひと昔前の“イメージ商売”にとらわれ、それこそ人権侵害とも言えるような恋愛禁止という契約で揉めて、裁判になるなんていうのは、いまの時代と乖離してるなぁと思わざるを得ないですよね。
《構成・文/岸沙織》