10月29日(現地時間)から開幕するグランプリ(GP)シリーズ・カナダ大会。12月のGPファイナル出場に向け、これから負けられない戦いが続く羽生結弦。ただ、今季は最大のライバルといわれる、ソチ五輪銀メダリストのパトリック・チャン(カナダ)が復帰。カナダ大会でいきなり激突する。

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「'11年から3年連続で世界王者に輝いたチャンのポテンシャルはゆづクンと遜色ない。彼はビッグマウスだけに“場外乱闘”もありますが、まあ、ゆづクンが受け流していますから……(笑い)」(スポーツライター)

 今年5月、復帰の際のインタビューで、ほかの選手について聞かれたチャンは、

《YouTubeでしか見ていないんです。ハビエルの4回転も、ユヅルの3アクセルなども、相変わらず素晴らしいなと思いました。でも正直に言うと、途中は早回しで見ました。今までのプログラムとあまり変わってない印象だったので》(『Number Web』より)

 とライバルを軽く“口撃”。もちろん、彼に指摘されるまでもなく、歯がゆく、悔しい1年間だったことは、羽生自身がいちばん感じていることだろう。元フィギアスケート選手で、解説者の佐野稔氏が代弁する。

「本当は昨シーズンのうちに4回転を3回跳びたかったと思います。でも、中国杯でケガをしたり、お腹を手術したりと、結局、4回転ジャンプを3回跳ぶことができませんでした。やはり、4回転を3回跳ぶというのは、ものすごく難しい。

 ソチ五輪のプログラムを仮に100だとしたら、今回は130から140くらい難しくなっていますよ。後半に4回転トゥーループとコンビネーションジャンプを入れ、体力的に本当に厳しいプログラムです」

 過去、羽生とチャンの直接の勝負は、7戦して羽生の3勝4敗。ラストはソチ五輪の舞台であったが、そのときもチャンの“口撃”が止まらなかった。羽生がSPで世界歴代最高得点となる101・45点を記録し首位を奪うと、こう話している。

「彼(羽生)の得点が高すぎるとは言いたくない。審判を批判するつもりはない。しかし、明日には多くのことが変わるだろう」

 また、ソチ五輪後には、こんな出来事も。

「エキシビションで、羽生のスケートのエッジが誤ってチャンの腹部に当たり、服が破け、腹部に傷を負わせてしまった。もちろん、羽生はすぐに謝罪しているんですが、五輪後にその傷を自分のインスタグラムでネットにアップし世界に配信したのです。羽生サイドは“そこまでしなくても”と気分を害していましたね」(前出・スポーツ紙記者)

 チャンがアップした写真には、彼からのコメントがこう付け加えられていた。

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ソチ五輪後、羽生に蹴られた腹部の傷をネットで見せるチャン(公式インスタグラムより)

《オリンピックのガラ(エキシビション)でオレがろっ骨を蹴られちゃったときのだよ。(なんで僕が自分のコスチュームをいじっていたか、不思議がっていたみんなのために言っておくけど)》(公式インスタグラムより)

 ソチ五輪から2年、因縁の対決が再び始まる。もちろん、リンク上で心に残る激突を見たいものだが、チャンの調子を心配する声も。

「ジャパンオープン(10月3日)はひどかったね。“あれっ?”って感じ。羽生くんよりパトリックのほうが心配です。それに、彼は1種類の4回転しか跳べないですから、厳しいですよ」(前出の佐野氏)

 今季、世界チャンピオンへの返り咲きを目指し、羽生の“負けられない戦い”が始まろうとしている─。