20150303 koshitsu (2)
両陛下とともに、来日したオランダ国王夫妻をお見送り('14年10月30日)。雅子さまは11年ぶりに宮中晩餐に参加された

「いま私が置かれている状況とは比べものにならない」

「いま、そういう時代でないことがひとつ幸せなこと」

 11年前の44歳お誕生日の記者会見で、そう述べられた皇太子さま。昭和天皇が1945年当時、44歳で戦争終結の御前会議を行っていたことを問われてのご感想だった。

 この2月23日に55歳のお誕生日を迎えるが、その会見では、「現在の陛下が即位されたのと同じ年齢に達するが、どのようなご感想を?」と質問が出るかもしれない─。

「厳密にいえば、現在の天皇陛下が即位されたのは55歳と15日でした。皇太子殿下はお誕生日から15日後の3月10日に、陛下が即位されたときと同じ日を迎えられます」

 そう正確を期すのは、元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さん。

 26年前の12月23日、皇太子だった陛下が55歳のお誕生日を迎えたとき、昭和天皇は病に伏せていて、美智子さまと連日、吹上御所にお見舞いに行かれていた。

 そして、15日後の’89 (昭和64)年1月7日、昭和天皇が崩御し、陛下が即位、浩宮さまが皇太子となられた。

「明治天皇が14歳、大正天皇が32歳、昭和天皇が25歳で即位されていますので、陛下の55歳というのはずいぶんと年をとられてからの即位だなと思いました。当時の私は32歳で、陛下より20歳以上、若かったこともあると思います。それに対し、現在の皇太子殿下は私よりも年が下だからでしょうが、同じ55歳でも当時の陛下と比べて非常にお若いと感じてしまいます」(山下さん)

 そんな皇太子さまや皇太子妃雅子さまに、"内向きだ""プライベートを優先している"と批判が出ることも。美智子さまが、皇后として母親として複雑なご心境であることは、両陛下と交流のある人物の話でもわかる。

皇太子さま
「OECD東北スクール」の高校生から活動報告を受けられた(2月3日)。このような少人数でのご懇談が増えるかもしれない

「現在の皇太子さまは、皇太子だったころの陛下に比べて、自分の意見を言い、実行されていく自主性があまりないように思います」

 そう話すのは、元共同通信記者で天皇陛下と学習院初等科から同級の橋本明さん。

「天皇・皇后両陛下は、皇室という制約が多い世界で工夫して、ご自分たちの主張や希望を通されていると思います。皇太子さまも時には、しがらみから抜け出して自由闊達な行動をされるといいと思います」

 橋本さんは、皇太子さまが研究を続けられている「水」を例に話を続け、このようにエールを送る。

「今年は『世界水フォーラム』が、関係が悪化している韓国で開かれるので、皇太子さまの出席が注目されていましたが、政府側が断ったそうです。その過程で、『水と衛生に関する諮問委員会』の名誉総裁を務める皇太子さまとしての主張や意思が見えてこない。ご自分で追究したいテーマや発表したいことがあれば、なにも韓国だからといって遠慮することはありません」