まつしま・なほみ●1971年12月2日生まれ。大阪府出身。『きらきらアフロ』(テレビ東京)、『知っとこ!』(毎日放送系)など、タレントとして、MCや、バラエティー番組を中心に活躍。2008年に結婚し、2011年に長男、2013年には長女を出産。
まつしま・なほみ●1971年12月2日生まれ。大阪府出身。『きらきらアフロ』(テレビ東京)、『知っとこ!』(毎日放送系)など、タレントとして、MCや、バラエティー番組を中心に活躍。2008年に結婚し、2011年に長男、2013年には長女を出産。

子どもの成長を綴ることがモチベーション

 “見ているだけで元気になれる”“子育てってすごく忙しいけど、楽しいんだと思わせてくれる!”と同世代のママたちから人気を集めているのが、松嶋尚美さんのブログ。

「約3年半前、初めての妊娠で不安も多かったんです。それで、同じくらいの月齢のほかの妊婦さんってどんな感じなんやろ、といろんなブログを見ているうちに、面白いなあ私も書いてみよう、と思ったのがブログを始めたきっかけです」

 持ち前のあっけらかんとした性格と、親しみやすい口調そのままで綴られたブログはたちまち読者を増やし、自ら得た情報を発信したり先輩ママの読者からのアドバイスを実践してみたりと、いまでは子育てママたちとのコミュニケーションの場ともなっています。

「最初はここまで子どもネタ中心の内容にするつもりはなかったんやけど、書いているうちに珠丸(ジュマ=長男・3歳)と空詩(ララ=長女・1歳)が将来読み返したときに自分たちの成長がよくわかるような日記になればいいなと思って。だからこそ、毎日更新のしがいがあるし、私のモチベーションにもなっているんです」

 そんな松嶋さんのブログなどをまとめたのが『松嶋尚美のジュマ&ララdiary』。妊娠、出産、子育ての様子がたくさんの写真とともに細かく綴られていて、愛情たっぷりの日記そのもの!

「本を出すために過去のブログや写真を見返していたら“こんな服着させてたんや”とか“こんなことあったっけ?”と、忘れていたことも多くて驚きました」

独身時代はいまとは真逆の生活

 いまでは2児の母としての顔がすっかり定着していますが、「独身時代は結婚願望も母親願望もゼロでした」と笑います。

「ジュマの妊娠中に心配なことがふたつあって、それが子どもが生まれたあとの料理と早起き。さすがにもう慣れたけど、最初は地獄やったわ(笑い)」

 36歳で結婚するまではいっさい料理をしたことがなく食事は毎日外食、生放送や収録が深夜に終わり、それから友達とご飯を食べに行き、帰宅して寝るのは朝方。

「いまとは真逆でしたね。でも、ある日突然、生活を変えたり、できなかったことができるようになるなんて無理やから、徐々に変えていくしかないと思った。赤ちゃんが生まれたら最初はおっぱいやミルクからやし、離乳食が始まるとはいっても最初からたくさん作るわけではなくて、しばらくはお粥ほんのちょこっとやし。そうやって慣れては次の段階、慣れては次の段階の繰り返しでここまできた感じです。

 そういえば、料理するにも初めはA型独特のきちょうめんさが大爆発して、レシピに大さじ1って書かれてたらピターッとスプーンすり切り1杯量ったり、水160ccなら沸騰して蒸発したときのことを考えて2ミリ増やしたりとかしていたなあ。餃子とかラフテーとか作ったら母親から“なんでこんなに手間のかかる料理作るの?”って言われたけど、料理したことないから、どの料理が手間がかかるとか知らなくって。

 でもいまじゃ、計量スプーンなんて使わずに適当やからね。あれだけ頼りにしていたレシピ本も、見て作るのが面倒になって、見ずに適当に作れるようになった料理も多いです」

 早起きにも松嶋さんなりの楽しみ方があるそう。

「毎朝7時に起きるんやけど、目覚まし時計は6時50分にセットして、1度起きてから2度寝するんです。あと10分寝れる〜! ってうれしくなる。これを私は“幸せタイム”と呼んでるんやけどな(笑い)」

『松嶋尚美のジュマ&ララdiary』松嶋尚美=著1300円 ワニブックス
『松嶋尚美のジュマ&ララdiary』松嶋尚美=著1300円 ワニブックス

この仕事が本職だと子どもが教えてくれた

 いまだから言える子育ての大失敗は? と尋ねると、こんなエピソードが。

「ジュマが健康やったからララにアレルギーがあると思わなくって。ある日、離乳食を用意してあとは旦那さんに任せて仕事に出たら慌てて連絡がきて、“ララがご飯ひと口食べたらみるみる顔が腫れあがったんやけど初めての食材あるか?”って。それで卵アレルギーが発覚したんやけど、以来“俺が食べさせるときは新しい食材入れんといて”って。旦那さんの自信をなくすきっかけを作っちゃって、あれは失敗やったな」

 夫婦円満でも知られる松嶋さん。旦那さんへの精神的ケアも、その秘訣のよう。

「ふと見たときにジュマとララと旦那さんが3人で楽しそうに遊んでいると幸せを感じますね。もし子どもに愛情が足りないと思うような旦那さんやったら、夫婦生活にとっくにピリオド打ってたと思う。家族や子どもを大切に思っていることがわかるから、一緒に育てられるんです。うちは共働きだからお互いに助け合える部分もあるのかもしれないですね。

 それから、子どもたちが保育園とかスクールにちゃんと通っているのを見ると、私もちゃんと仕事せなあかん!って思うんです。独身時代、実はこの仕事を本職だと思ったことがなくて職業欄に“自営業”って書いてたんやけど、いまははっきり“タレント”って書けるようになった。仕事をして子どもを養っていくという気持ちが明確になったんやろな。早起きも料理もそうやけど、子どもたちが成長させてくれたことはたくさんあります」

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撮影/伊藤和幸


■ライターが見た著者の素顔

「無農薬野菜とか無添加食品とか、食品に限らずこだわりだすとキリがない性格でした。でもララの完了期も終わってアレルギー検査でも問題ないと言われたし、お正月に家族でハワイに行ってのんびり過ごしていたら、柵がバンとはずれたようにラクになったんです。それで外食、外食! ララ、ジュマ中華行くで〜♪ って(笑い)」と松嶋さん。

 何かにこだわる一方で手を抜く時は抜く、バランス感覚にすぐれた、柔軟でたくましい女性だなぁと思いました。

(取材・文/若山あや)