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慈しみ深い両陛下は、北原尾でどのようなお言葉をかけられるのか

 

「美智子さまは4月のパラオご訪問の後、ゴールデンウイーク中は休養の機会があったようです。しかしその後、5月13日には全国赤十字社大会があり、16日から2泊3日で石川県の植樹祭にお出かけになったので、天皇陛下ともどもお疲れが心配です」

 両陛下の近況についてそう話すのは、ある皇室関係者。

 今年は終戦から70年の節目の年で、両陛下は昨年6月の沖縄訪問を皮切りに、長崎県(10月)、広島県(12月)と、太平洋戦争中に多くの犠牲者を出した地を訪問して慰霊されている。

 その一環で、春には激戦地となった太平洋の島国・パラオを1泊2日の強行日程でご訪問。直前に、両陛下とも風邪を召されるなどしてお疲れはピークに達していたはず。

「あまり無理をなさらないでほしいのです。両陛下が最近始めた私的旅行を楽しんでいただければ……」

 一昨年の春に始まったフルムーン旅行を例に、そう両陛下を気遣うのは、冒頭の関係者。随行員を最小限に抑えてくつろいでいただく旅で、今年は初夏に予定されている。

「今回のご旅行は山形県と宮城県が予定されていて、宮城県では"北のパラオ"と呼ばれる蔵王町の北原尾地区を訪ねることを両陛下は強く希望されているとのことです」

と宮内庁関係者。

 蔵王連峰のふもとで酪農が盛んな北原尾は、パラオからの引揚者が大変な苦労をして開いた開拓地。

 着の身着のままでパラオから逃れてきた人々は、当初は主に農業に力を入れていたが、1950年代の冷害で凶作になり、開拓者たちは酪農で暮らしていくことに。

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パラオの戦没者碑に白菊をお供え(4月9日)

 パラオを忘れないように、"北のパラオ"から「北原尾」と名付けられたという。

「そんな縁で、2001年にはパラオの大統領が、’14年には駐日大使が、北原尾地区を訪問しています。今年は蔵王町の町制施行60周年にもあたるので、パラオを旅した両陛下が"日本のパラオ"も訪問されることは意義深いと思います。戦中戦後に苦労をしてきた現地の人たちにも感慨深いものがあるのではないでしょうか」(同・関係者)

 昨年の青森県への旅行の際も、東日本大震災で被害を受けた八戸港を視察し、リフレッシュ以外にも必ず〝テーマ〟を設けられる陛下と、それに寄り添われる美智子さま。

 皇室を長年取材するジャーナリストで、文化学園大学客員教授の渡辺みどりさんは、今回のご旅行について次のように話してくれた。

「やはり戦後70年ということが大きな理由になっていると思います。戦争でパラオを追われ、寒い地域で苦労してきた人たちを偲ぶお気持ちから、休暇中でも立ち寄られることにしたのでしょう。戦後60年でサイパンを訪問された年に、美智子さまは満蒙開拓の引揚者が戦後、栃木県・那須の原野を開いて作った開拓地に眞子さまを誘って訪問されたこともあります。今回も"国民と苦楽をともにする""戦争の悲劇を繰り返さない"という両陛下のテーマに沿ったご予定だと思います」