「かつての皇室は明治維新や文明開化の経験により、ヨーロッパの王族のような、セレブリティーの中のセレブリティーという一面を持っていました。例えば、パーティーを頻繁に開かれたり、大正天皇が英語とフランス語をマスターなさったり。今でいう"リア充"だったのです」
と話すのは、歴史家の堀江宏樹さん。佳子さまは、その精神を現代に体現する申し子だという。
「第二次世界大戦で皇室を取り巻く環境が変わりましたが、100年ぶりくらいに現れたのが"リア充"タイプの秋篠宮家。新しいものを取り入れるスタイルは、戦前の皇室文化がよみがえったといえます」
だが、リア充といっても、華美な生活をするというわけではない。歴史を振り返ると、イギリスなど、フランス革命後にも生き残った王室は"莫大な財産はあっても、金遣いは荒くない"とアピールする方向に。
「庶民感覚をもたないと、国民の支持を得られませんから。この王室の一般化は今でもヨーロッパの王室の根底を流れ、トレンドといってもいいでしょう。英国王室のキャサリン妃もこのことを証明しています」
佳子さまは現代の日本で、国民が求める"セレブだけど庶民的"な皇族像にマッチしている、と堀江さん。
「それは、佳子さまの紀子さま譲りの自己プロデュース能力の賜物だと思います。紀子さまは、よき妻、よき母、よき嫁と、さまざまな顔を使い分けていらっしゃいます。佳子さまの場合、成人を迎えた記者会見での黄色いスーツ、成年式でのローブ・デコルテ(胸元を大きく開けた衣装)、伊勢神宮での参拝服、キャンパスでの縦ロールにした髪型やタンクトップ姿。その場で求められる役割を理解し、ファッションを使い分けていらっしゃいます」
メリハリをつけることで、セレブ感と庶民感の2つをアピールしているのだ。明治という激動の時代を生きた皇族の女性にも、佳子さまに似たタイプの方がいた。
「当時、ファッションアイコンのように取り上げられていた梨本宮伊都子(なしもとのみやいつこ)さんです。九州の鍋島藩から梨本宮に嫁がれた方で、とても気の強い方だったとか」
いつの世も皇族や王族として生きる女性には、自己を表現できる強さが必要。
「伝統を継承するノブレス・オブリージュ(高貴な者の義務)、公務、家系後継者の育成など生き残るためには高い"女子力"が求められます。私たちが想像するお姫さまストーリーのように甘くないのです」
受け身の姿勢では幸せになれない世界。
「だからこそ、自分の意思をしっかりともち、周囲が認めるような自己プロデュース能力は必要不可欠。これからは佳子さまが、21世紀の新しい皇室の扉を開けることになるでしょう」