「参拝したら、コンサートチケットが手に入った!」

 なんて、嵐ファン=通称"あらしっく"たちの間で話題騒然なのが、滋賀県栗東市にある大野神社。天神さまこと菅原道真を祭神とし、国の重要文化財でもある鎌倉時代初期建造の楼門を持つ、由緒ある神社なのだが……。

「神社名に加え禰宜を務める大宮聰さんの名前が『大宮SK』という、かつての大野智と二宮和也のユニット名を連想させるとか、大宮さんの誕生日が松本潤と同じだということから、ネットを中心にその存在が広まりました。いまや多くの嵐ファンが集まる、あらしっくの"聖地"です」(アイドル誌ライター)

 そんな神社が、7月31日に喫茶コーナー兼売店の『大野cafeアプリ』をオープン。昨年は"嵐効果"もあり、年間20万人もの参拝者数を記録したものの、近ごろは客足が衰え始めたため、新たに考えだされた呼び物のようだ。

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 オープン早々、盛況だと聞き、本誌も訪れてみると─。まず、目をひいたのが、神社内の売店に飾られている数多くの大野グッズ。

「参拝に来た大野ファンがぜひ飾ってくださいと"奉納"していったプレゼントだそうです。まさに、御礼参りですね」(前出・アイドル誌ライター)

ファン垂涎、5色のソフトクリームも

 そして、注目のカフェへ。グッズ売り場でひときわ目立つのが、目玉商品という『大野バウム』。栗東市内にある文化ホールで営業している喫茶店と共同開発したバウムクーヘンで、全5種類。それぞれ、色と柄の違うパッケージで売られている。

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 青色で模様が描かれた『大野神社ご神紋柄』は厚切りのココア味。黄色の『宮柄』は厚切りのプレーン。赤色の『桜柄』はしっかりとした焼き目のプレーンで、紫色の『松柄』は薄切りのココア味2枚組。緑色の『葉柄』は薄切りプレーン2枚組。単品だと1箱650円、5段重ねは3200円で50円お得となっている。

 お気づきの方もいるだろう。柄のネーミングとそれぞれのカラーに嵐の5人をイメージできる工夫がされている。さらに、カフェでもファン垂涎の『大野ソフト』というメニューが。ソフトクリームに1切れの大野バウムを差したもので、各390円。もちろん、こちらも5パターン。青のソーダ味、黄色のマンゴー味、紫の巨峰味、赤のいちご味、緑のメロン味。

「人気はソーダ味がダントツですね」(カフェの店員)

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 こうしたアイデアは、注目のきっかけを作った禰宜の大宮さんから生まれたもの。その舞台裏について、本人に話を聞くことができた。

「嵐さんのファンだけを相手にしている神社ではないんですよ。観光神社ではなく、地域密着型の神社というのが基本原則。バウムクーヘンにしても、町おこしの一環です。喫茶店をやられているオーナーさんがご自宅の裏でバウムクーヘンを作り、ひっそりと売っていらっしゃったけど、それがなかなか売れない。でも、これを栗東という町のアピールにできるのではと考えました」

 大野バウムは、かつて東京・日本橋にあった洋菓子店の伝統製法によって作られた、無添加、直火焼きの本格派。だが、地味に埋もれていたそれを人気商品に変えたのは"嵐効果"以外の何物でもない。

 実際、大宮さんも「ちょっと奇抜にいかないと、マスコミが来てくれないですしね(笑い)」と言うが、ただ、何から何まで"狙ったもの"でもないようだ。

「大野バウムを作るにあたって、5種類あったら面白いですね、とは言ってはありました。でも、それぞれ違ったパッケージデザインは想像以上の仕上がりでしたね。実は、2年前にお守りを作ったんですが、それも初めから5色を作っていたわけではないんです。嵐のファンの方々から、5色展開してほしいという声がかなり多かったので」

 つまり、大野神社が聖地化していった背景には、ファンの後押しも大きかったわけだ。しかし"嵐効果"の扱いには、難しい部分もあるという。

「嵐さんの名前自体を出すのは厳しいということもあり、ギリギリのラインでやっているつもりはありますね。これは、公認ではないですから」

 そう、これらの商品はジャニーズ事務所非公認で、いわゆるオフィシャルではない。

「嵐をめぐる便乗商法としては、相葉クンの実家の中華料理店で売られていたオリジナルグッズが人気を集め、ネットオークションで高く取引されたこともありました。ただ、あまりに売れすぎたことによる自主規制ということなのか、今では来店ポイントを集めた人がもらえる景品という形に変わっています」(ワイドショースタッフ)

 そのあたり、ジャニーズ事務所は大野神社のことをどう見ているのか。相葉クンの実家の例があるだけに、全国から集まってくるファンにも気になるところだろう。

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 ただ、神社サイドもそれなりに気を遣っているようで、栗東市役所にも電話で聞いてみると、

「市長が1度、東京へ出張に行った際にアポなしでジャニーズ事務所さんに大野バウムを持って行ったんです。栗東市が嵐さんの聖地として盛り上がっているんですよ、という報告も兼ねてです。これまで特におとがめなどはありません」

 由緒ある神社と地元の首長、そして、芸能人にとっては"神様"ともいうべきファンたちが協力して、作り上げた聖地。さすがのジャニーズ事務所も、触らぬ神に祟りなし、というところだろうか。ところで、気になるのは、5人をイメージさせる5種類のバウムの売れ行き状況。大宮さんによると、

「やっぱり大野さんのファンが多くて、青色が圧倒的ですね。そして、私の名前が大宮ということで、二宮さんの黄色も。また、赤色が売れるのは、櫻井さんの人気が純粋に高いのかなと(笑い)。ほかの色も含めると、1日で200箱売れる日もありますよ」

 神社の参拝者数は正月の三が日だけで3万〜4万人にも達するという。

「コンサートチケットの当選を願って絵馬を書きに来る方や、関西でのコンサートのついでにお土産を買いに来る方もいらっしゃったりして。嵐さんが動くと、うちも忙しくなるんです(笑い)。バウムクーヘンは箱もかわいらしいですし、箱目当てで購入して、グッズとかチケットなどを保管するのに使われるファンの方もいるみたいですね」

 嵐の人気にあやかったスイーツだけど、ワクワクできるご利益は折り紙つき!