『ヨルタモリ』(フジテレビ系 日曜夜11時15分~)が9月20日に惜しまれつつ最終回を迎えます。著名なゲストとのスペシャルトークでは、世の中を裏から見る、タモリならではの格言がたくさん飛び出しました。改めて、人生がちょっとおもしろく思える名言をご紹介!
「すべてのジャンルで入門編はありえない」ゲスト:黒木瞳(2014年11月23日放送分)
ゲストの黒木がジャズをあまり聴かないことから、宮沢が「ジャズの入門編ってありますか?」とタモリに聞いたときの回答。タモリはウイスキーの入門編はありますかと聞かれてもないと答える。
「経済的に許すなら、若いうちになるべく最高の料理、最高の酒を飲んでおいたほうがいい。頂点を極めないから、これがダメ、あれがいいということになる。頂点を極めてしまえば、裾野が広がり、どんなものでもよく見える。許すことができる。だから入門編はありえない」
中途半端なものから入るより、本物に触れたほうが本質がわかるということかも。
「ありのままの自分なんてのは1秒もない」ゲスト:松たか子(2014年11月16日放送分)
松が歌った大ヒット曲『Let It Go~ありのままで~』の話に。飾らない、自然体の自分という意味で使われる“ありのまま”に、「意味がわかんねぇ」と違和感を表す。
「自分ってのは常に変化してるわけでしょう。その変化も自分ではわからないわけでしょう。ありのままの自分なんてのは1秒もないわけよ」
人間は刻々と自分を過去のものにしていく、生まれ変わっていくものだという諸行無常の考え。他人に対して「あの人が変わってしまって悲しい、いやだ」と思うこともあるけれど、変化することこそ“ありのまま”だと思えば、許す気持ちが生まれそう。
「人間、ジグザグ行こうよ」ゲスト:堤真一(2015年2月8日放送分)
ヨットが趣味のタモリ。堤真一や宮沢に船が楽しい理由を聞かれて、船は帆が風を受けてただで動くからだと。
「ヨットは風上に向かっても斜めには進める。ジグザグに行けば風上に行ける」という説明に、宮沢は「人生みたいね」とナイスな比喩で返す。
人生で「アゲインスト(逆風)のときはジグザグに行け」。向かい風を正面から受けずに受け流せばいい。そのうち風向きが変わるかもしれないということ。「人間ジグザグ行こうよ」と、最後にはタモリらしい呼びかけが。
つらいときは休んでいい、頑張りすぎるな、何とかなる。背中を押してくれる言葉だ。
「愛ってきれいなものじゃない」ゲスト:草なぎ剛(2015年5月10日放送分)
正月はタモリの自宅で過ごすなどプライベートで親交のある草なぎ。愛とは何かという話になるが、草なぎは結婚願望がなく、愛は全然わからないという。タモリは愛の存在をまったく信用しておらず、そのダークサイドを力説。
「愛は素晴らしいっていうけど、愛が達成されなくなったら人を殺すんだよ。執着なんだよ。愛ってきれいなものじゃない。いいときだけがきれいで、悪くなったらものすごく汚いもの」
恋人でも夫婦でも、仲がいいときを基準にこれが彼の愛だ、と信じてしまうと、悪くなったときに裏切られたと感じて破綻してしまうのかも。
「変態の第一歩は恋愛」ゲスト:大泉洋(2015年5月17日放送分)
いやらしい話し方だとタモリから指摘された大泉。「私はいやらしくない」という大泉に「僕は変態ですよ」と宣言。タモリによれば、人間は誰だって変態だという。
「変態の第一歩は恋愛だと思っていますからね。生殖行為の第一義は子孫を残すことでしょう。それに愛しているからいいとか、愛さないからダメとか、精神的なものが入ってくること自体が変態」。
確かに動物と比べると、人間は変態かも。さらに、「変態はクリエーティブ。人間の精神作用の最高のものがない限り、変態にはなりえない」と。変態って実は優秀なクリエーター……?。
「女は人を愛するプロ」ゲスト:桃井かおり(2014年12月21日放送分)
桃井が宮沢に、子どもを出産して母性が生まれたか聞くと、宮沢は「基本の自分は変わらないけれど、自分より大切なものができた」と振り返る。
タモリは、「女は人を愛するプロなんだよね。それに比べたら男は素人も同然」と称賛。恋愛の“愛”なんてまるで信用していないタモリだが、母の愛情だけは揺るぎない信頼を寄せているようだ。
男女の違いについての言及は多く、男っぽい性格の真木よう子がゲストの回(2015年7月5日放送分)では「気の弱い女性はいない」と断言。
「女性はそういう生き物。子どもを産むことは、自分の命を捨てるかもしれないということも含めて、気が弱くてはやってられない」と分析する。
随所で、女性への尊敬のまなざしを見せる。かくいう理由からか、実生活では妻にかなうわけがないと、全面降伏しているそう。これが夫婦円満の秘訣なのだろう。
「結婚はある種の狂気」ゲスト:篠原涼子(2015年8月23日放送分)
市村正親に次いで妻の篠原も来店。宮沢が「結婚するときって燃えているもの?」と聞くと、タモリから答えが。
「結婚はある種の狂気ですからね。冷静に考えるとあれほど不思議なものはない。何億人も女性がいるのに、これでいいって決めるでしょう。狂気じゃないとできない。狂気は悪いことでもなんでもないけどね」
つまり恋愛は自分を普通じゃなくするもの。熱くなることを嫌うタモリならでは。
「自分の人生を否定してほしい」ゲスト:秋元康(2015年3月22日放送分)
宮沢に叱られるのが気持ちいいと喜んでいたタモリに共感した秋元康。タモリが叱られたい理由は、「人生を否定してほしい」から。
タモリを含め、社会的に成功して自信と自負がある人は横から女性に“そんなもんは大したものじゃねえぞ”って叱ってほしいのだという。
タモリの変態的ひと言。
「性欲がなくなって、本当にものがわかりはじめる」ゲスト:糸井重里(2015年6月28日放送分)
70歳のタモリと66歳の糸井は50代を振り返り、いやに老人ぶっていたがまだ若かった、変化が訪れるのは65歳だと説く。性欲がなくなってきたのが理由だという。
「それからものがわかりはじめるんじゃないかね、本当の。大人って何ですかって聞かれて、身体の成長が止まった人のことを言うっていうのは名言だなと思うけど、性的に限界を迎えたときにもうひとつ段階がある」とタモリは語る。
こういうことだったのかと、自分なりの答えが見えて、発見なのだという。年を取っても知る喜びがあると思うと、希望がわいてくる。
最終回も名言を期待したい。