朝ドラ『あさが来た』で波瑠が演じる主人公・白岡あさのモデルは、幕末から大正までの激動の時代を駆け抜けた女性実業家・広岡浅子。読めば朝ドラが倍楽しめる、彼女の波瀾万丈人生を紹介。
27歳のとき、ひとり娘の亀子が誕生。しかし、子育てに専念している余裕はない。浅子は当時の先端ビジネス、炭鉱事業に目をつけ『広炭商店』という石炭輸出会社を設立。
しかし当時、国内唯一の積み出し港であった長崎までの輸送経費がかさんで経営は難航してしまう。
また、次に着手した九州・筑豊の『潤野炭鉱』も採掘が断層に阻まれ、休鉱へと追い込まれるが……。
「浅子は“ほかの炭鉱に成功するものがあるのに、この炭鉱ばかりが失敗する道理はない”と、親戚縁者の猛反対を押し切って、自ら炭鉱で働いてみることを決意。屈強な荒くれ者の鉱夫たちと寝食を共にしながら、坑内にも立ちました。刀で脅かされたこともあったようですが、懐にピストルを忍ばせ、決してひるまなかったそうです」(NHK関係者)
そんな命がけの努力が実を結び、潤野炭鉱の産出量は2年後から急増。優良炭鉱に生まれ変わった。
そんな中、広岡家にはひとつの悲願が。両替商としての加島屋の再興だ。明治21年、浅子らは『加島銀行』を設立。信五郎を相談役とし、頭取は信五郎の弟である久衛門正秋が務めた。ここでも、彼女の存在感は抜群。
「京都・東本願寺の高僧が寺への融資を受けようと加島銀行に出向き“頭取に会いたい”と申し出たことがありました。すると、浅子が挨拶に顔を出し、融資の話を聞き入れるどころか、寺院の経営の乱れを厳しく指摘。僧侶たちは慌てて引き下がったといいます」(出版関係者)