安全保障関連法案の審議中に急降下した安倍政権の支持率は、各メディアの世論調査では軒並み回復傾向。沖縄・辺野古で座り込む住民の強制排除、原発再稼働と暴走し続ける一方、反対意見には無視を決め込んでいる。そんな独りよがりの“おっさん政治”には黙っていられない。
今月1日、ママや弁護士、地方議員、民主党の辻元清美衆院議員も駆けつけて100人近い女性たちが東京・表参道に集結。昨年に続き2度目となる『怒れる大女子会☆2015』を開催した。
「怒りは、対等の相手に向けて、自分の正当な権利が侵されたときに抱くもの。(女らしくない、などとして)女性に最も禁じられた感情だった」
ビデオメッセージを寄せたのはNPO法人『ウィメンズ アクション ネットワーク』代表の上野千鶴子さん。
これに貧困問題に詳しい作家・雨宮処凛さんは大いにうなずく。
「非正規労働者の7割が女性。ブラックバイトや派遣先でひどい目に遭っても自己責任と思い込まされている」
福島第一原発事故から4年半が過ぎた被災地では、アベノミクスの影響で広がった格差が深刻化。事故直後から取材を重ねる夫婦漫才コンビ『おしどり』のマコが明かす。
「お金がなくて出荷制限がかかって市場には出せない作物を、農家の方に分けてもらい食べざるをえない人たちがいる。一地域だけの話じゃない」
そうした社会の理不尽さに声を上げ、動きだした女性たちの歩みは今も止まらない。
安保反対デモを牽引した『SEALDs』の谷こころさん(写真・左から3番目)は、「来年の参院選に向けて野党共闘や無関心層への呼びかけに力を注いでいる」と現在の活動を紹介。加えて、安保法に通じる“自由と民主主義”の問題として、沖縄が置かれた現実にも憤る。
「3月に辺野古へ行き、他国の基地が作られていくさまを目の当たりにした。SEALDsのメンバーは“自由と民主主義に観客席はない”と言うが、私もそう思う。自発的に動き始めた若い人たちの力こそが、国を動かす根底の力じゃないかと思っています」
“誰の子どもも殺させない”を合言葉に全国に広がった『安保関連法に反対するママの会』も健在だ。同会@神奈川の武井由紀子弁護士は、参院選へ向けた野党統一候補の擁立運動について報告した。
ママの会をはじめ市民団体が中心となり候補者を擁立、それを野党がバックアップする選挙協力構想の動きがあるという。
「与党の有力候補を相手に落選運動をしている暇はない。安保法制に反対する議員を、とにかくひとりでも確実に増やすことが大事。選挙制度を勉強して数字を読み解く必要がある」(武井弁護士)
また『怒れる女子会』世話人の太田啓子弁護士は「ひと口に女性といっても個々の考え方は違う」とし、国会にある程度まとまった数の女性議員がいなければ、女性たちがさまざまな声を上げても政治に反映されないと指摘する。
「安倍さんが言う“女性の活躍”って、要は女性のおっさん化。女性閣僚たちも発想がおっさんでしょう。そうじゃないとエラくなれない。でも女性には女性の強さがあるからそれが出せるような政治であればいいしバックアップも必要だと思っています」(おしどり・マコさん)