人気の戦国武将・真田信繁(幸村)を三谷幸喜が描く大河ドラマ『真田丸』で、信繁の父親・昌幸を演じている草刈正雄。
草刈は30年前にNHKの新大型時代劇『真田太平記』で真田幸村として出演。その時、父・昌幸を演じたのは今は亡き丹波哲郎さんだった。
「初めにオファーをいただいたときは、びっくりしました。30年前、とにかく丹波さんの昌幸が印象的だったんです。豪快でとてつもなく明るくて。丹波さん自身もすごく明るい方でした。大ベテランですから存在感もすごいし、すべてが備わっているという感じでした。
前回は丹波さんが演じる昌幸の息子・幸村を演じ、今回は僕が父親の昌幸を演じる。何か因縁めいたものを感じます」
草刈は17歳でモデルとしてデビューし、19歳で役者の道に。父親がアメリカ人ということで、端正なマスクで一気にスターの階段を上ったのだが、本人は役者として自身の顔についてコンプレックスのようなものを持っていたようで……。
「バタ臭い顔じゃないですか(笑い)。ですから、時代劇はできないと思っていたんです。初めて大河に出させていただいたのは『風と雲と虹と』(1976年)で忍者の役でした。
うれしいことに、そのあとも時代劇に使っていただいて、さらに今回は、こんなに素敵な役をいただけた。『真田丸』は、今までの僕が出演させていただいた作品の中で、ベスト3本のうちの1本になると思います。昌幸という役は、僕のこれまでの集大成と言ってもいいかもしれません。役者を続けてきてよかったと思っています」
“集大成”とまで言い切る草刈に、視聴者から絶賛の声があがった第1話を見た感想をお願いしてみると……。
「実は、見ていないんです。僕、怖がりだから『真田丸』に限ったことではなく、自分の出演している作品をほとんど見ないんで。オンエアを見て、ちょっとでも引っかかる部分があると次の撮影にその気持ちを引きずってしまう気がするんです。ひょっとしたら今回も最後まで見ないかもしれない……、なんてことはないかな(笑い)」
そんな怖がりの彼が自身の出演作、ベスト3本のうちの1本とまで言うことができる『真田丸』。これからの展開から目が離せない。