今年4月から電力自由化がスタートする。原発事故を機に自然の力を利用した再生可能エネルギーへ期待が高まりつつある。だが、そんな発電施設の近隣に想像を絶するような苦痛を強いられている住人がいることはあまり知られていない。いったい何が起こっているのか。被害者の声を聞いた。
「僕の家の近くから建設を始めたから、6月ごろには家の中に光が入ってまぶしいな、と感じるようになったね」(近隣に住む建設会社経営の被害男性)
発電施設開発企業JAG国際エナジーが実施した対策は太陽光パネルと家の間に、樹木を植えるだけ。
「1年たちましたが、まだ2階の窓より低いんです」
このままでは命にかかわると危機感を覚えた被害男性は昨年9月、自宅を照らす太陽光発電パネル1296枚の撤去と330万円の損害賠償を求め、JAG国際エナジーを神戸地裁姫路支部に提訴した。
JAGへ取材すると「係争中でお答えできません」とのことだった。クリーンなイメージの太陽光パネルが、健康被害を出しているというニュースが伝えられると、その反響は大きかった。太陽光パネルの普及促進を目的としている『太陽光発電協会』にも、問い合わせの電話がかかっているという。
「そもそも太陽光パネルというのは、地面に直接設置することは想定されていませんでした。基本的には、建物の屋根の上です。建築基準法が歯止めとなり、安全性が守られていました」(太陽光発電協会の穂岐山孝司広報部長)
トラブル防止策はこうだ。
「業者の説明会のときにしっかり質問をして、言葉を濁すようであれば反対をしていくとかですね。業界全体でも、トラブルを防止しようとしている。当協会でも、設置からトラブルまで対応できるリーフレットを配布しています」
折しも今春、電力自由化がスタートする。太陽光発電や風力発電、バイオマス、地熱などの自然エネルギーは、発電コストはかかるが発電時に二酸化炭素を出さない。クリーンエネルギーとして、利用者に選ばれる時代になる。だが、クリーンであるからといって、いいことばかりではない。