原作はミステリー作家、有栖川有栖の代表作『火村英生シリーズ』。20年以上続く作品を初めて映像化した『臨床犯罪学者 火村英生の推理』(日本テレビ系 日曜夜10時30分~)。
主人公の犯罪学者、火村英生を演じるのは日本テレビのドラマに初主演する斎藤工。相棒で推理作家の有栖川アリス役は、2014年のNHK朝ドラ『花子とアン』でブレイクした窪田正孝。
人気俳優2人の共演を“奇跡のバディ誕生”というのは戸田一也プロデューサー。だが、初回の放送までは不安があったという。
「『デスノート』『エンジェル・ハート』と、漫画原作が続いたので大人向けの本格的な推理モノが受け入れられるか? と思いました。でも放送後に、“新鮮だった”“映像が斬新”などの意見をいただき、ひと安心しました。キャストも制作スタッフも“一瞬たりとも気を抜かないぞ”という気持ちで新しい試みにもチャレンジした結果が視聴者の方に届いたようなので、うれしい限りです」
緻密なトリックはもちろんだが、最大の見どころは火村×アリスのバディ。
「人を殺したいと思ったことがある」と公言し、心に闇を抱えた孤高の火村と、彼に寄り添う保護者を自認するちょっと頼りなげなアリスのコンビネーションが絶妙だ。
「硬軟、ボケとツッコミ。たまにそれが逆転する柔軟な関係性が魅力です。多面性のあるやりとりにするため、脚本家とは何度も話し合っています」(戸田P)
刑事役は初挑戦という優香の好演も光る。和気あいあいとした撮影現場は生瀬勝久、マキタスポーツに加え、優香もムードメーカーになっているそう。
「優香さんとは何度かご一緒させていただいているんですが、今まででいちばんはじけていますね(笑い)。具体的には秘密ですが、あだ名をつけてはキャッキャッと笑って喜んでいます」(戸田P)
有栖川作品は関西を舞台に物語が展開するため、今作は、京都が舞台に。
「名探偵ものなので、敬愛するシャーロック・ホームズとワトソンを意識した設定にしています。ロンドンがホームズとワトソンなら、日本には火村とアリスがいる、という気持ちが強いですね」(戸田P)
京の町並み、関西弁のアリス、町屋をイメージした火村の下宿も要チェックポイント。黒電話や囲炉裏が置かれ、細部までこだわりが。
「和の情緒が感じられる京都が舞台のミステリーだと、ともすると古風になってしまいます。本作は懐かしい雰囲気を味わいながらも洗練された空間になるよう、工夫しています」
大家の時絵(夏木マリ)を交えた下宿でのシーンには、
「事件現場は緊張感が続きますが、火村の下宿ではほっこりできると思います。前者がA面なら下宿はB面。ゆるい会話や登場人物の素顔も垣間見られます」
第4話『ダリの繭』(2月7日放送)は、原作でも人気の作品。サルバドール・ダリに心酔する宝石チェーン社長(岩城滉一)が殺害された。遺体は繭のようなフロートカプセルに浮かび、トレードマークの髭が剃り落とされていた。
「第4話ではアリスの人生やトラウマも語られますのでお楽しみに」
女子大生の貴島朱美(山本美月)が火村に近づく理由、超過激派集団「シャングリラ十字軍」指導者・諸星沙奈江(長谷川京子)と火村の関係、謎の少年(小野寺晃良)についてなど伏線の展開にも注目を。