男女、親子、仕事、さまざまな人間関係のなかで愛を取り戻していくヒロインを描いたオリジナルドラマ『愛おしくて』(NHK総合・火曜夜10時~)。
和テイストのドラマで、映像美が評判になっている。青木信也チーフ・プロデューサー(CP)によると、『龍馬伝』などの大河ドラマでも使用され、迫力のある映像が撮れるプログレッシブカメラなどを交えて撮影したそう。
物語の舞台は、岐阜県の山あいの街。愛人をつくって家を出た父・辰造(小林稔侍)に捨てられ母は病死、さらに恋人にも裏切られた小夏。伝統工芸の有松絞りだけが、彼女の唯一の生きがいだった。
有松絞りを極めようと小夏が赴いたのが、岐阜にある絞り染め作家・深浦怜子(秋吉久美子)の工房だった。怜子は獣医師の光太郎(吉田栄作)と深い関係にあったが、小夏の弟子入りで、2人の間に変化が。怜子の飼い犬の世話を通じ、小夏と光太郎は少しずつ惹かれ合っていくのだ。
小夏と、絞り染め作家としての小夏の才能に脅威を感じ、光太郎との心の交流に嫉妬心を燃やす怜子との、年の差を超えた女の戦いは、さらに激化していく。
男女間の愛憎に加え、この物語では小夏と辰造の親子の絆の再生も描いている。
「殺伐とした現代に生きる人々に“愛することの大切さ”を真剣に問いかけています。男と女の愛、親子の愛、小さな命を慈しむ愛……。さまざまな“愛”をめぐる人間模様をご堪能ください」(青木CP)
第5回(2月9日放送)では、有名デザイナーの代理人の立木純子(本上まなみ)が小夏を訪ねてきて、パリコレでのコラボを持ちかける。そのころ、辰造は長く中断していた船造りを再開しようとしていた。親子間の距離はどうなる?
そして、光太郎は小夏に怜子からの結婚の申し込みを断ると宣言する。物語は後半に突入。クライマックスに向け、大きく動き出す。
「見どころは、大人の名優たちによる演技バトル」と青木CPが断言するとおり出演者たちも気合を入れて撮影に臨んだ。
「田中さんはこの先の愛が結ばれるクライマックスのシーンのため、演出担当や技術スタッフとディスカッションを重ねていました。非常に美しい場面になっていますので、お楽しみに」(青木CP)
話題になったのは怜子とのラブシーンで見せた光太郎の肉体美。ラブストーリーは11年ぶりという吉田は、半裸でのシーンのため、トレーニングで鍛え直した。
「“あの背中は40代後半と思えない”など、男性からの反響も大きいですね」(青木CP)
ロケ中は、吉田の周りに女性が集まって、大騒ぎに。
「年代を問わず、すべての女性が栄作さんの前に来ると、目がハートマークになっちゃうんですよ(笑い)。女性を魅了する栄作さんのカッコよさが、本作ではお楽しみいただけます」(青木CP)
秋吉は奔放な怜子役を楽しんで演じたよう。
「迫真の演技なのですが、その最中に共演者の方を冷静に見ているんです。例えば“別れを切り出す光太郎の栄作さんが、本当に悲しそうな目で私を見るのよ”とか“小夏の麗奈さんは、怒った顔が素敵で、思わず見とれちゃったわ”とか」(青木CP)
そして最終話で落涙シーンを演じた小林は、50年に及ぶ俳優生活の中でも、本当に涙が出たのはまれなことだという。
「現場のムードメーカーは、栄作さんと南果歩さん(辰造の愛人役)ですね。長期の撮影では、みなさんで食事をすることも多く非常にチームワークのいい現場でした」(青木CP)