20160223_kaiken_12

 野党は夏の参院選へ向けた一人区での統一候補擁立に動くが、難航している。立憲主義の危機を訴え、安倍政権打倒を掲げる野党のキーパーソンである維新の党・初鹿明博(衆議院議員)を直撃した。

――おおさか維新の会は政権寄りの動きが目立ち、自民党の改憲勢力とも指摘されている。維新の党は別の考えとみなしていいのか?

「もう別の党ですから。昨年6月に、安保法案の反対集会に参加して共産党らと街頭演説したことで私は党の役職をすべて降りましたが、いまはそうした心配はありません。

 憲法を守る気がないような人を総理大臣のまま置いておくわけにはいかない。それが安倍政治を問題視する野党議員の共通認識だと言えます」

――安保関連法に反対する理由は?

「明らかに憲法違反で立憲主義に反しているからです。また一内閣の閣議決定で憲法解釈を見直していいとなれば、ほかの条文についても、解釈だけで憲法を変えられるんだという前例を作ることになる。

 中身についても、他国から攻められたときには個別的自衛権で対応できるのに、集団的自衛権がないと日本を守れないというのは明らかに嘘。憲法違反で嘘に基づく法律を認めるわけにはいかない」

――今度は解釈変更ではなく、緊急事態条項を加えることで安倍政権は憲法自体を変えようとしている。

「緊急事態条項は憲法を停止することになるため危険です。いま自民党で検討されているものは、首相が緊急事態宣言を発して緊急事態条項を発動したとき、その期限が何日間という制限もない。

 国会議員の任期を延長して解散がなかったら、議会の多数派はずっと変わりません。民主主義にとって致命的なことになると思います。少なくとも3日間なり1週間なり期限の上限を設けるべきです」

――憲法改正は必要か?

「私は基本的には改憲論者です。現行憲法が定めている地方自治や衆参二院制などについては疑問がある。それでも立憲主義を理解していない安倍政権の手で変えるべきではないと思います。

 憲法改正を言ったときに、近隣の国に対してどんなメッセージとなるのか考えることも非常に重要です」

――安倍政権の暴走を止めたい市民は、年が明けても野党共闘がなかなか進まないことに失望している。

「参院選は一人区もあれば複数区もあるから、複数区の候補者からすれば他の野党と競ることになるわけで、共闘という話にはなりづらい。だが、一人区で候補者をまとめなかったら勝てないと誰もが思っています。

 まずは今の政権を選挙で倒すことに集中する。そのためには候補者調整をきちんとやらなければ」

――安保法反対のため国会前に連日集まった当時の熱は冷めたと言われている。

「今度は国会から遠い場所で、自分たちの地元に持ち帰った人たちが周りの人や友達に話したり、勝手連を作ったりして活動を始めている。ママたちの間でも政治の話はタブーとされてきたのが変わってきたように思う。投票することでアクションを起こしてほしい」