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 東大卒の知的さと軽快な音楽調、甘いルックスで'90年代には“渋谷系の王子様”と評されるほどの人気を博した小沢健二。6年ぶりの全国ツアー『魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ』も好評のうちに幕を閉じた。

「ギター、ベース、ドラムス、キーズと読むようです。英語とカタカナを混ぜこぜにした表記で、言葉遊びの好きなオザケンらしいですね」(音楽ライター)

 ツアー日程の発表も凝っていた。今年1月19日に突然「あす1月20日午後3時 渋谷クアトロ」と記された謎のポスターが掲示され、ファンが詰めかけると本人が現れて14公演を告知。朗読を3本行ってメッセージを伝えた。

「“王子様”と呼ばれた不思議なノリは健在ですね。'89年にフリッパーズ・ギターとしてデビューした元祖渋谷系で、当時は音楽の面だけでなくファッションでも大きな影響力を持っていました。 フリッパーズが解散した後はソロで活動を始め、スチャダラパーと共演した『今夜はブギー・バック』が大ヒット。今年で48歳になりましたが、少年っぽさは変わっていませんね」(前出・音楽ライター)

 同じ時代に活躍した漫画家の岡崎京子とは、同志のように共感しあう関係だった。彼女が交通事故で活動できなくなってからも、交流は続いている。昨年3月には、東京の世田谷文学館で行われた岡崎京子の個展『戦場のガールズ・ライフ』会場でサプライズライブを行うなど、友人との絆を大切にしている。

 小沢は学者の父母のもとに生まれ、幼いころはドイツで過ごした。指揮者の小澤征爾は叔父、俳優の小澤征悦はいとこにあたる。女性人気は絶大でミュージシャンや女優とも交際の噂が流れたが、結婚したのは'09年のこと。

「奥さんは写真家のエリザベス・コールさん。ニューヨークの大学院で学んでいたとき友人の紹介でオザケンに出会いました。芸術や文学の趣味が似ていて政治に対する考えも近く、意気投合して仲よくなったようです。

 エリザベスさんは戦場の街で日常の風景を撮影するなど、社会的なテーマを追う仕事をしていますよ」(レコード会社関係者)

 彼女は写真以外の仕事も手がけていて、小沢の音楽活動にも関わっている。

「'12年に行われたコンサート最終日に奥さんがステージ上に登場しました。そのときは妻とは言わず、“コンサート内での演出を手伝っている方”という紹介をされていました」(小沢のファン)

 小沢は自らのウェブサイトで、妻との仕事について語っていたことがある。

《僕らの場合は夫婦ですし、自分らで手を動かして作業をしますから、打ち合わせとメールのやりとりで進行するやり方ではありません。着想から作業まで、ひふみよ以来デザイン面で皆さんに見てきて頂いているものは、僕らが日常でしている息そのものです》

 『ひふみよ』というのは'10年に開催された全国ツアーコンサートのこと。共同作業を通じて愛を育み、'13年には長男の凜音クンが誕生した。'14年に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)に出演した際には一緒にタモリの楽屋へ。

「16年ぶりのテレビ出演で、昔から小沢のファンだったタモリさんは“息子がかわいいんだよ!”と感慨深げ。オザケンに似ていると話していましたよ」(テレビ誌ライター)

 6月21日に行われた金沢でのライブにも、小沢は息子を連れていったらしい。

「ライブが終わるときに息子さんが一瞬出てきて、小沢さんと舞台上からはけていったんです。MCでは息子のことを“りーりー”と呼んでいて、息子自身も自分のことを“りーりー”と呼ぶようになったとうれしそうに話していました。息子が『ドラえもん』に興味を持っているので『ドラえもんミュージアム』に行きたいとも。完全に親バカでした(笑)」(前出・ファン)

 渋谷系王子も、今やすっかりお父さんモード。コンサートで披露された新曲の中にも、息子への視線が感じられる詞が見受けられたという。

「小沢の歌詞は“文学的”と評されることが多かったんですが、今回の新曲はちょっと雰囲気が変わりましたね。

 “晩ごはんのあとパパが散歩に行こうって言い出すと”“本当に誕生するのはパパとママの方で 少年と少女の存在はベイビーたちが続けていくよ”“子どもの頃に見た幻だと大人になった君は思うかな?”なんてフレーズは、以前にはなかったものです。かつては“君と僕”、つまり自分と恋人をモチーフにしたラブソングがほとんどでしたからね」(前出・音楽ライター)