忙しさや気配り不足により、いつの間にかできてしまう夫婦の心の溝。それぞれのきっかけで溝を埋め、いい関係を築くことができた3組の夫婦のエピソードを紹介。
■犬の存在が癒しになり家族に笑顔が戻りました
(東京都/Aさん/48歳)
夫は金融関係で働くサラリーマンで、結婚当初から早朝に出勤し、深夜に帰宅する生活が長年続いてきました。子育てに協力してほしい時期も夫は仕事優先で、私がひとりで子どもを育ててきたようなものです。
夫に対して寂しさからつい嫌みを言ってしまうことがあり、夫婦の関係はギクシャクしていました。そんな関係は、夫が大病を患い入院してさらに悪化。私は毎日病院に通い看病しましたが、当の本人は感謝の言葉もなく、退院後も飲酒、喫煙を続ける始末。あまりの自分勝手な振る舞いに、私と娘たちは笑顔をなくしていきました。
そんな時、1匹の犬と出会い、家族として迎えることに。私も子どもたちも、犬の可愛さに笑顔が出るようになりました。それと同時に、犬の存在に夫も癒されたのだと思います。帰宅後は犬のことで会話が弾み、犬の散歩も夫婦ふたりで行くようになりました。最近では犬と一緒に行ける場所を探して、家族でキャンプや旅行を楽しんでいます。
■本気で取り組む私の姿を見て冷ややかだった夫がいちばんの理解者に
(埼玉県/Bさん/42歳)
子どもが小学校に入学してから自分の時間が持てるようになり、子どもと一緒に書道を始めました。習い始めてみると、無心になれていい気分転換になるし、子どもと共通の会話も増えて楽しくて。
そんな私の様子を見て「時間があって呑気でいいよねぇ」と主人は冷ややかな反応。それでも習い事は続けたかったので、夫の態度に内心腹が立ちましたが「書類や手紙を書く時にも役立つから」と言って続けていました。
それから3年後、生徒さんに指導できるまでの資格を習得! 主人も私が本気で取り組んでいるのを認めてくれたようで、展覧会に入選した際は、私に内緒で仕事の合間に作品を見に行ってくれたり、親戚の集まりでは私の頑張りをうれしそうに自慢していました。
やはり夫婦だからこそ、頑張っている姿を見るとお互い刺激になり、応援してくれるいちばんの理解者になりますね。これからも夫婦で成長していこうねと話しています。
■目標に向かって協力したことでお互いの大切さを実感
(神奈川県/Cさん/34歳)
私たちは周囲から羨ましがられるような仲よし夫婦でした。それが年数がたつにつれ、子どもが生まれて家族も増えて、いつの間にか夫婦の時間を持てなくなり、だんだんと心の距離を感じるようになっていました。
そんななか、私が仕事にするためにネイルスクールに通うようになったんです。たくさん練習が必要だったので、休日は夫に子守をしてもらい、テスト前には子どもが寝た後に夫の手を借りて連日練習をしました。
テストに合格しないと先には進めないので、夫も何とか私を受からせようと協力してくれました。そのかいあって無事テストに合格! 夫もすごく喜んでくれました。
当時は、私は家事や育児に、夫は仕事にそれぞれ一生懸命で、お互いへの気遣いが薄れていたかもしれません。でもネイリストになるという具体的な目標ができ、夫婦で一緒に乗り越えたことで改めてお互いの大切さを実感し、自分の時間も夫との時間も大事にすることができるようになりました。
イラスト/きくちもも