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 先日、最終回を迎えたTBSドラマ『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』。中谷美紀演じる主人公が奮闘する姿が話題を呼んだ。今や「結婚したい!」という思いに、年齢もタイミングも婚歴も関係ない時代。20代から70代までの婚活女子が探し求める「出会い」、そして「幸せ」とは?

■気がかりな「娘の手紙」と「性癖」

 30代女性の婚活では、これまでもさまざまな男性と交際してきた経験があるぶん、相手に求める条件も厳しいところが見え隠れする。婚活市場の中で揺れる女心。翻弄されつつも、理想の相手を探す人たちを取材した。

 1年半前、前夫の浮気や育児放棄を理由に離婚した美紗子さん(仮名・35)には、現在6歳の娘がいる。

「いずれは再婚したかったけど、娘が小学生になるまでは、子ども第一に考えていました。思春期になる前に結婚を決めたいんです」

 婚活は3月から始めた。恋愛的な要素も必要だが、安心感と経済的・精神的安定を求めている。年収は500万円以上を希望。

「まじめに働き、家庭を大切にしてくれる人がいい。そうなると、年上のほうが落ち着いていると思う」(美紗子さん)

 相談所の紹介で3人と出会い、なかでも印象がよかった50代の男性と交際中。ただ、相手は海外勤務で、会う回数が限られている。

「(インターネット電話サービスの)『スカイプ』でやりとりをし、メイクを落とした姿を見せたこともあります。娘も“パパになったらいいのにね”と言い、親しくしています」(美紗子さん)

 外見や中身に磨きをかける努力も始め、数年以内の結婚を目指す。帰国子女なので、海外生活でもOKだ。

 ただ、心配なのは、娘からの手紙に男性からの返事がないこと。

「彼が日本から離れるとき、空港で娘から手紙を渡していたのですが、返事がありません。ダメだったときのことを考えて、娘に期待させないようにしているのかもしれませんが……」(美紗子さん)

 絢子さん(仮名・36)が結婚したいと思ったのは2年前。友人から「高齢出産になるかもよ?」と言われて焦った。過去に結婚を考えた恋人はいたが経済力がなく、ケンカばかり。

「一緒にいて落ち着く人がいい。経済力も必要です」

 合コンに参加したことはない。知人からの紹介は重く考えてしまうからだ。そのため昨年11月、結婚相談所に登録した。35人を紹介され、6人と交際。2、3か月続いたのは、たった1人で、その人と交際中だ。

「山に2人で星を見に行きました。ラブラブではなかったのですが、会話がなくても居心地がよかった」(絢子さん)

 男性から後日、プロポーズもされた。ただ、職業が自営業ということを不安に思った母親が「経歴書を出してほしい」と言いだした。

 そんな失礼なお願いに、男性は履歴書と実績報告書を快く書いてくれた。安心した母親も、「入籍するなら早くしなさい」と言う。

 それでも、絢子さんには心配がある。性の相性だ。絢子さんは“肉食系”だが、相手は性欲が強くない。

「性の一致は大事です。その点、彼は淡白。結婚は刺激ではなく、安定だとわかっていますが、このまま結婚して大丈夫でしょうか」(絢子さん)

 出会い系サイトやSMにハマり中絶も2回経験。これらをすべて受け止めてくれる人がいいと考えていたが、最近は「墓場まで持って行こうと思う」と話す。

■ダメンズ好きから抜け出せない……

 麻里さん(仮名・32)は2年前、婚活パーティーに初めて参加。結婚を考えていた恋人と別れた後だった。現在は、合コンを中心に活動する。恋愛と結婚は条件が違う。20代のときは“お金がないけど、夢を追っている人”や“影のある人”が好きだった。しかし、婚活を始めてからは、年収500万円以上を条件に、安定を求めるように。

「物件探しと一緒。相手にダメなところがあっても、妥協できるか、ですよね。ただ、条件が合っても、自分の気持ちが燃え上がらないこともある。ラブコールを受けても、熱が上がらないと動けない。結婚にも、やっぱりドラマは求めてしまうというか。婚活は自分のペースで続けます」(麻里さん)

 ただ、「ひ孫が見たい」と言う祖母が生きているうちに結婚したい。そのため、毎朝1人ずつ男性を紹介してくれる婚活アプリ『マッチアラーム』も利用する。

「毎日アクセスすると疲れます。まだ、相手と会う段階まで至っていません」(麻里さん)

 香世さん(仮名・32)は5年前からパーティーへ行き、婚活中。彼氏と別れたばかりだった。今は婚活サイト『ゼクシィ』に登録している。やりとりをしたのは10人。通信アプリ『LINE』を交換したが、内気な性格のため積極的になれず、なかなかうまくいかない。

 最もこだわる条件は身長だ。香世さん自身が170センチのため、相手のボーダーラインは175センチ以上。

「昔から身長が低い男性はダメ。自分よりも身長が高いと、守ってもらえる感じがしますから」(香世さん)

 ただ、最近は婚活を休みがち。LINEでわいせつな画像を送りつけられる被害にあったからだ。

「休んでは動き、休んでは動きの繰り返し。疲れたら、婚活で出会った男性をネタにして女子会で盛り上がることにしています」(香世さん)

 友人たちは結婚し、飲み会の誘いも減った。付き合うと結婚を意識される年齢にもなった。だから、焦る。

「今は返信をためてしまいがち。でも、返信しない間に、相手は誰かとうまくいっているのではないか、と考えちゃう」(香世さん)

 条件が先行しがちな婚活だが、相性や将来性を見極める場でもある。一方で、「真剣に」「丁寧に」と考えすぎると、婚活疲れを招く。交際相手が見つかっても悩みは尽きず、結婚までの迷走は続く。

取材・文/渋井哲也