国会は6月1日に閉会する。7月の参院選はもうすぐ。与党も、野党も、消費税の増税は再延期するという。有権者である私たちは何に注目したらいいのか。
「安倍首相が衆議院を解散して衆参ダブル選挙になる可能性は低くなりました。高く見積もって確率30%です」
と予測するのは政治評論家の浅川博忠氏。
いずれにしても確実に行われるのが参院選で、選挙日程は「7月10日投開票」が有力視されている。
任期6年の参院議員(定数242)は3年ごとに半数が改選される。政権与党の自民・公明は非改選の76議席と合わせて過半数122議席をキープし、法案が通りにくくなる“ねじれ国会”を避けたい。
おおさか維新の会など改憲賛成派を足して162議席に届けば、憲法改正発議に必要な3分の2の勢力となる。
「そうなれば安倍首相の悲願である憲法改正にリーチがかかります。ただ、女性有権者にとって、悲願は働きやすさと暮らしやすさではないでしょうか」(浅川氏)
安倍政権は「女性活躍」を政策の柱に掲げる。
しかし、多くの女性にとって“活躍しやすくなった”という実感はないだろう。東京家政大学名誉教授で評論家の樋口恵子氏は「本気かどうかが重要」と指摘する。
「女性には妊娠、出産があります。育児中の長時間労働は難しい。だからこそ、女性が働きやすい社会環境を整えることが、雇用対策にも少子化対策にもなる。その大前提が保育施設の充実で、これが最優先課題です」(樋口氏)
政策実現への本気度をはかるうえで忘れてはいけないのが「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログへの反応だ。安倍首相はブログが匿名であることを理由に野党の質問にまともに答えようとせず、与党議員からはヤジまで飛んだ。
その後、民進党は保育士月給5万円アップ法案を今国会に提出ずみ。
ところが、政府は同法案を審議しようとせず、男性より低い女性の平均給与をベースに引き上げ額を算定したとして「女性活躍どころか男尊女卑政権だ」(民進・山尾政調会長)と批判された。
政府がまとめた「1億総活躍プラン」では、保育士給与の引き上げ額は月約6000円で、ベテラン保育士だけ月約4万円アップとしている。
「少子化社会ですから、自民党は女性にもっと働いてほしい。しかし、年度予算を組む立場上、野党が言うような大盤振る舞いはできない。選挙戦で野党が財源をどう説明するかに注目したい」(浅川氏)
民進党のマニフェスト原案ではほかに、介護職員の月給1万円アップや、2020年までに全国平均で最低時給を1000円に引き上げ、男女同一賃金、長時間労働是正などを並べている。
争点つぶしか、政府プランは、これに微妙に“寄せて”きている。
「そもそも女性国会議員の割合が低すぎます。安倍首相が“女性の活躍”を口に出すようになったことは評価するが、女性議員を増やす手立ては打っていない」(樋口氏)
民進、共産、生活、社民の野党各党は参院1人区で統一候補を立てる選挙協力を進める。与野党どちらに説得力があるか。言うのは簡単だから騙されないようにしたい。