ネットニュースなどで話題になっている、パトロン(パパ)をみつけ、金銭的なサポートを受ける“パパ活”。SNSや出会い系サイトを利用してパパ活で愛人募集をしている女性が増えているという。週に1回、数時間会うだけで月に数十万円という収入を得ることも可能なため、ラクに稼ぎたい女性がサイトに集まっている。
出会い系サイトといえば、男性が被害にあうケースが多かったが、最近ではこの“愛人募集”を利用した女性がターゲットの“詐欺”が増えているそう。出会い系サイトで騙された経験のある女性・Aさんに話を聞いた。
「最初に出会い系サイトに登録した理由は“遊べる相手が欲しかったから”。当時は結婚していて、旦那に不満があったので金銭目的ではなく発散できる相手を探していました。その後、離婚に至ったのですが、1人で暮らさなくてはいけなくなったので、これからはお金に余裕のある人と会いたいと思ったんです」
Aさんは離婚後、すぐに彼氏を作る気にはなれず、割り切って会える相手を探すようになったという。ほどなくして、ある男性からメールが来た。
「既婚者で子どもがいる30代前半のサラリーマンでした。メールでは仕事や趣味の話などで盛り上がり、一度会ってみようという流れに。
とても気が合うので今後も関係を続けたいとお互い思ったんですが、男性には家庭があるので割り切った付き合いをするために愛人契約をすることになったんです」
一度のデートで2万円をもらう約束をし、その日も2万円を受け取り帰宅したAさん。しかし、長くは続かなかった。
「その後、数回会い、身体の関係も持ちましたが、“手持ちがないから次回まとめて渡す”と引き延ばされ、音信不通になってしまいました」
突然連絡が途絶えてしまった男性。自分からお金を催促することができなかったのが悪いとAさんは後悔しているようすで話した。
待ち合わせ場所に来たのはコワモテの男
今度は別の出会い系サイトにしっかりと“愛人募集”のプロフィールを作り、連絡が来るのを待ったという。
「連絡はすぐに来ました。今回はお互いの目的がハッキリしているので、最初から金額も決め、スムーズに話が進みました。今回ははじめから割り切った関係を希望されたので、デートではなくホテルに行くという約束をして待ち合わせをしたんです」
しかし、待ち合わせ場所に来たのは……。
「一般のお仕事ではなさそうな、怖い見た目の方でした。でも挨拶してみると優しくて、そのときは悪い人ではなさそうと思ったのを覚えています。まず食事に行ってお話をすることに。事前にいくらいただくかは決めていたんですが、それ以上の金額を翌朝渡すと言われ、何の疑いもなく承諾してしまったんです」
そしてAさんと男性はホテルに。
「コトが終わると、彼は“仕事があるから翌朝戻る”と言い残して部屋を出ていきました。宿泊したのも高級なホテルで、お金もありそうな方だったため私は油断して寝てしまったんです。案の定、翌朝になっても彼は戻らず、部屋もチェックアウトされていました。もちろんお金もいただいていません」
二度もやり逃げをされてしまったAさんは、自分の行動を後悔し、愛人探しをやめたという。
詐欺罪に問うことはできるのか
Aさんは「詐欺の被害にあった」と主張するのだが、そもそも、“愛人契約”は法律上、成立するのだろうか? 離婚・男女問題に詳しい、ゆい法律相談事務所の中田充彦弁護士に話を聞いた。
「民法90条では、“公の秩序又は善良の風俗(公序良俗)に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする”とされており、このケースのように、不倫関係をもつことに対して一定の対価を支払う契約は、公序良俗に反するものと考えられますので無効になります」
では、“騙された”ということで詐欺罪に問うことはできるのか。
「女性を騙して売春の代金を免れたとの事実について、詐欺罪で起訴されたケースで、詐欺罪の成立を認める裁判例と、“そもそも民事上無効な契約であるため、刑事上保護する必要がない”との理由で詐欺罪の成立を否定する裁判例があり、判断はわかれています。
愛人契約についても同様であると考えられますので、必ずしも詐欺罪で処罰されるとは限りません」
中田弁護士は、こう続ける。
「なお、腹いせに奥さんにバラすということは控えた方がよいと思います。なぜなら妻から見れば愛人は単なる不倫相手ですから、奥さんから訴えられ、不貞慰謝料を支払わなくてはならなくなる可能性があるからです。
また、”ラクに稼げる”ということですが、安易に飛びつかず、リスクを十分に知ったうえでやっていただきたいと思います。ただ,個人的にはこういうことはしないのが一番だと思いますけどね」