宮根キャスターから突っ込まれる姿がジワジワと話題を呼び、今や応援される気象予報士として大人気の蓬莱大介さん。今年は水不足だったり、猛暑が確実と言われているけど、実際どうなの……!? ということで、蓬莱さんが普段の“イジラレ顔”を捨てて、自作のイラストとともに本気解説します。
今年の梅雨明けはいつもと違う
例年、夏の『太平洋高気圧』が南から強まり、梅雨前線を北へ押し上げて『梅雨明け』となります。それが今年は、東から高気圧が強まって梅雨前線を消す形で、東海から西で一斉に梅雨明けするという、少し変な状態でした。
東海や近畿から遅れること10日たち、関東もようやく梅雨明けしました。翌日には東北地方も梅雨明けとなり、これで全国すべて梅雨明け。いよいよ本格的な夏が到来します。
梅雨明け直後には猛暑が続く『梅雨明け十日』という言葉があります。
が、今年はまだ8月上旬は太平洋高気圧の強さが不安定。そのため、梅雨明け直後の関東は涼しい日もあり、しばらくは西日本を中心に猛暑が続きそうです。関東はお盆のころから8月下旬にかけて、暑さのピークを迎えるでしょう。
水不足の猛暑の夏
“暑さが長引く”がポイント。8月の気温は全国的に平年並みか、高めの予想です。
猛暑の理由は、2つの高気圧がやってくるから。例年、太平洋側から夏の高気圧が強まって暑くなりますが、今年はさらに中国大陸のほうから『チベット高気圧』という別の高気圧もその上に重なってくるので、西日本を中心に猛暑となりそうです。
平年、大阪や福岡の8月の最高気温は約33度。それよりも暑い日が多いと予想されます。そして、9月と10月も全国的に平年より気温が高く、残暑が厳しく秋の到来が遅れそうです。
みなさん、『お盆に水に入ると幽霊や河童に足を引っ張られる』ということわざを知っていますか?
これは、水遊びをするときの注意をうながした言葉。お盆のころは遠くの海で発生した台風の波が日本までやってきて、その影響で離岸流(海岸の波打ち際から沖合に向かってできる流れ)が強まったり、足に海藻が絡まりやすかったり、クラゲが出たりします。また、川では上流で降った局地的な雨により、下流では晴れていても、流れが急に速くなって足をとられることもあるので、気をつけてください。
現在、関東のダムの水位は低い状態が続いています。冬に降った雪の量が少なく、空梅雨で雨も少ないことが原因ですが、これからの夏は晴れる日が多く、どんどん水位は下がっていくことが予想されます。8月から9月は平年よりも暑くなるので“水不足の猛暑の夏”になり、20年ぶりに給水制限になる可能性も。猛暑なのにプールが使用中止になったり、水道の水圧が下げられるかもしれません。
今年の台風は油断できない
水不足の解消にもつながる台風。今年はまだ、台風4号までしか発生していません。(8月1日時点)。例年、台風1号は春までに発生しますが今年は7月に入ってからと遅く、数も少ない状況です。
しかし、過去に7月までの台風の数が少なかった年を調べると、8月以降は平年並みに台風が発生して日本に上陸している年もあるので、油断はできません。今年の台風は、日本付近の海水温が高いため、強い勢力でくることが考えられます。
昨年から世界でもトップクラスの気象衛星・ひまわり8号が運用開始になり、さらにスーパーコンピューターの進歩によって、今年から台風の予報円の半径は以前よりも約20~40%小さくなりました。精度がどんどん向上している台風進路予想図。今後、台風が発生したらチェックして、対策に役立ててください。
《プロフィール》
1982年生まれ。兵庫県明石市出身。早稲田大学政治経済学部を卒業後、俳優を目指していたが、たまたま書店で気象予報士の資格を知り、一念発起! 1年半の勉強の末、試験に合格した。2011年より読売テレビの気象キャスターを担当。現在は『情報ライブ ミヤネ屋』(月曜~水曜、金曜13:55~)、『かんさい情報ネットten.』(月曜~金曜16:47~)、『ウェークアップ!ぷらす』(土曜8:00~)に出演中。
http://hourais-office.co.jp/
《人生初の本》
蓬莱さんの人生初の本『気象予報士・蓬莱さんのへぇ~がいっぱい!クレヨン天気ずかん』が発売されました。“ネコが顔を洗うと雨”“トンビが高く飛ぶと晴れ”“雷鳴ったらへそ隠せ”など、天気にまつわることわざや言葉を、蓬莱さんが描き下ろしたイラストとともに解説。思わず誰かに教えたくなるような、天気の“ことば”の“わざ”がたくさん詰まった1冊です。