「人気があって、生徒にしっかりと向き合ってくれるよい先生でした。信頼していたのに裏切られた気持ちです」
という女子生徒がいる一方、別の女子生徒は辛辣で、
「私があいさつしても、礼をするだけで、話したこともなかったですね。影は薄かった。よい先生って言われているけど、ほんとキモイよね。やっぱりそういう人かって感じ」
相反する評価の主は、福島県立小名浜高校の教頭、古川直樹容疑者(51)。7月4日、県内のパチンコ店で女性店員に対し陰茎部を露出したとして、公然わいせつの疑いで同県警石川署に逮捕された。
「夜の8時半過ぎだったかな」
見たくもないものを見せられた20代の女性店員は、容疑者が店にやって来た場面を、よく記憶していた。
「デニムに黒のシャツ、黒の帽子。見たことのない人だったから、(不正をする)ゴト師だったりしないか気にしていましたけど、普通にパチンコを打ち始めました」
パチンコ台とパチスロ台が全部で92台の小型店。お客はほとんどが村の住民で、ほぼ顔見知り。当日の客は5人。1時間ほどたったころ容疑者に呼ばれ「(パチンコ玉が入った)ドル箱を運んでほしい」と頼まれたという。そのときだった。男はデニムの股間に当てていた帽子をどかした。
「ジッパーの間から出ているものを見せつけてきたんです。気がつかないふりをして、計量に向かったんですが、男は帽子で隠しながら近づいてきて、また見せてきたんです。怖くて、何かされるんじゃないかと思って、本当に気持ち悪かったですよ」
女性店員は換金用商品を手渡すとすぐ事務所に駆け込み、
「なんかチ×チ×、見せられたんだけど!」
40代の男性店員が、換金を終えた男性に「すみません、お客さん!」と声をかけたが、男は無視して車に乗り込み、そのまま走り去ったという。
車のナンバーを覚えていた店員が110番通報。帰宅途中の容疑者を警察が発見し翌日、逮捕された。現在は処分を待ち、自宅待機だという。
全校生徒266人中8割が女生徒という高校の教頭として赴任して2年目。担当教科は情報と社会。剣道の有段者で昨年は剣道部の顧問も務めた。福島市内に家族を残し、単身赴任していた。
「まじめで実直な人でしたね。教頭職も前任の高校から合計して5年目ですからツボを押さえた的確な仕事ぶりでした。まさかあの人が……」
と同校校長は肩を落とす。
動機もはっきりしない。捜査関係者は、
「奥さんとケンカしたとか、仕事が忙しかったとか、趣味のマラソン大会で思うような結果が出なかったとか言ってますけど、これっていう明確な動機につながるものはない。事件直前、家族でファミレスで食事をしたみたいですし、奥さんもそんなこと(ケンカ)はないと言っていますし」
仕事の忙しさはどうか。
「周年の行事が控えて忙しい時期であったかもしれませんが、教頭の仕事の範囲としては問題のない仕事量であると判断しました」
と県教育委員会。「再発防止に努めます」と約束したが、どんな再発防止の手を打つのか。
事件現場のパチンコ店は、小さな対策に乗り出した。
「記者さんの車のナンバーも、さっき控えましたよ。見たことない人が来ると、また同じようなことが起こるんじゃないかって怖くて」(女性店員)